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2013年 3月 4日

「除染作業は無法状態」
福島の労働者たちが証言 

ピンハネと労働法違反が横行 

 福島第一原発事故による放射能汚染を取り除く除染作業で、福島県内で不当なピンハネや違法な労働実態がまん延している。元作業員らが実態を告発し、調査と是正を求めている。

▼除染作業でも最賃並み

 「『草木の刈り込み作業』というハローワークの求人を見て福島に来た。放射線量が高い20キロ圏内での除染作業だったことは後から知らされた」。こう語るのは、昨年10月から田村市内で除染に当たった元作業員の奥村英二(42歳・仮名)さんだ。

 奥村さんの雇用主は、元請けゼネコンの3次下請けである警備会社(埼玉県)。仕事は山林で草木を刈り、袋に詰めて集積場所まで運ぶ作業だった。日給について契約書には「1万1000円」の記載だけ。環境省が発注した除染作業は本来、賃金とは別に「危険手当」として、一人当たり1万円分が支払われているはずだが、「明示はなかった」と証言する。

 作業前に被曝に関する説明を受けたものの、「どういう場所でやるのか詳しい説明はなかった」。翌月、手当のピンハネが報道されると、日給の詳細が明記された契約書を渡された。内訳は危険手当1万円のほか、基本給は5700円で県の最低賃金(時給664円)レベルだ。ここから食費と宿泊費を引かれ、以前と同じ1万1000円となっていた。同じ現場で働いた小山弘さん(43歳・仮名)は「被曝して働いているのに最低賃金では納得がいかない」。奥村さんも「危険手当の出所は税金だ。不当に利益を上げるのはおかしい」と憤る。

▼おかずはウサギのエサ

 同じ下請け会社で働いた別の男性は、劣悪な待遇についても明かす。

 作業中は会社が用意した宿泊小屋の8畳間に4人ずつで生活した。トイレは50メートル先の屋外。部屋にテレビはない。ストーブの用意も遅かった。特に不満だったのは朝晩のまかない飯で、「おかずはピーマンとナス二切れずつ、それとモヤシだけ。まるでウサギのエサだった」。料理は改善されたが、劣悪なのはそれだけではないという。

 「草刈機を使う際に、会社が負担すべき労働安全衛生教育の講習費用8000円を払わされた。作業でどれだけ被曝したのか線量も知らされていない」

 この下請け会社の作業員は昨年末、「作業は終了した」と言われ、雇用契約を一方的に打ち切られた。

▼違法労働が野放し

 厚生労働省によると、監督を実施した242の除染業者のうち、賃金不払いや労働条件を明示しないなどの法令違反があったのは108業者(約45%)に上る。前出の小山さんは「手当のピンハネで労働基準監督署に相談したが、『環境省に相談して』。環境省には『会社ともっと話し合って』と言われた」と漏らす。3月から別の下請け会社で除染作業に当たるが、今回も労働条件は明示されていない。小山さんは「契約書にサインをしなければその場で帰らされる。除染現場にいられないと、自分には帰る場所がない」とつぶやく。

▼徹底調査と是正求める/元作業員ら

 危険手当のピンハネや労働法違反の問題で、元作業員らが2月28日、都内で環境・厚労省に徹底調査と是正指導を求めた。これに対し環境省は「当事者間の契約の問題」、厚労省は「個別事案は労働局に情報を寄せて」と繰り返した。

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