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2013年 4月 1日

非常勤講師を5年で雇い止め
大阪大学などが導入方針

改正労働契約法の規制逃れで 

 改正労働契約法が4月に施行されるのを機に、大阪大学など一部の大学で非常勤講師に「5年有期制」を導入する動きが出ている。改正法に従って5年を超える講師を「無期雇用」に転換したくないためで、労働組合は「雇用安定をうたった法の趣旨に反する」と批判。今後、裁判や労働基準監督署に訴える構えだ。

▼徳島大は無期雇用へ

 首都圏と関西圏の大学非常勤講師組合によると、5年有期制を予定しているのは大阪大学や神戸大学、早稲田大学など。東京大学や京都大学をはじめ多くの国立大学は導入しない方向で、私立大学の大半は様子見の状態だ。

 一方、徳島大学では期間限定のプロジェクトに携わっている教員を除き、非常勤講師の雇用期限を撤廃、4月から無期雇用に移行する。5年有期制を提案していた琉球大学も3月27日の団体交渉で撤回した。

 導入に固執しているのが大阪大学で、既に就業規則も改定した。希望者全員を無期雇用に転換するのは「雇用経費などとの関係で適切ではない」というのが組合への説明だ。無期雇用にすると経費がふくらむことなどを理由に挙げている。

 しかし、この説明に説得力はない。首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、「改正法に従えば無期雇用になっても賃金などの労働条件は変わらない。私たちは大きなことを求めているのではなく、これまで通り仕事があるなら働きたいと言っているだけ。団体交渉で説明すれば、たいていの大学は理解してくれるのに、大阪大学はなぜ5年の雇用上限にこだわるのか」と首を傾げる。

 今、大学は少子化の影響で厳しい運営を強いられている。「雇用継続の期待権」が発生しかねない無期雇用を避け、手っ取り早い人件費削減策として使える5年有期制に飛びついたのが真相とみられる。

▼法的措置も検討

 多くの非常勤講師は1年契約を更新して働き続けている。5年有期制が入れば、一律に5年で「解雇」を強いられることになる。

 組合は大阪大学に対し、就業規則変更の手続きが適正でなかったことなどを労働基準監督署に告発する構え。早稲田大学については就業規則手続きの不備に加え、「一方的な不利益変更」の是非を問い、法的措置を検討するという。

 佐藤昭夫・早稲田大学名誉教授(労働法)の話 一部大学での更新上限5年の動きは、雇用安定を保障するとした改正労働契約法の趣旨に反し、非常勤講師の雇用をさらに不安定化するものだ。ユネスコの「教員の地位に関する勧告」(1966年採択)では、「教職における雇用の安定」は「教育の利益のためにも不可欠」と規定している。こうした国際基準からの後退は明らかだ。

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