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2013年 2月28日

「まともな正規雇用が必要だ」
全労連などが若者問題シンポ 

高校教師や記者らが訴え 

 若者の過酷な労働や就職実態について考えるシンポジウムが2月24日、都内で開かれた。現役の高校教員や週刊誌記者、大学教授らが、低賃金で不安定な非正規雇用が増えている影響で、正規雇用の状態も劣化してきていると指摘。まともな正規雇用で働けるように社会を変えよう、と呼びかけた。

▼正規雇用でも月9万円

 「勤務条件さえ選ばなければ就職はあるが、厳しいものが増えている」。こう語ったのは、北海道中部の高校教員、佐藤理河さん。3月1日の卒業式までに就職内定率は100%を達成できるが、「とても1人では生活できない賃金の仕事もある」と告発する。

 ある宝飾関係の求人は基本給11万円で昇給・賞与もなく、手取りでは9万円。居酒屋は、基本給が13万円でも残業代を含み、「時給制などアルバイトと同じ労働条件で働かせているものもある」。さらに携帯電話の販売職は「大量採用して途中で雇用を切る。企業は長く雇う気がない」と明かす。

 一方、地元の木材加工や建設会社では「一人前になるまで5年は育てます」と語ってくれる。「こうした企業は数年に一度の求人しかない。毎年採用できるような支援が必要だ。生徒の期待に応える働かせ方をしてほしい」と訴えた。

▼「やりがい重視」は危険

 「週刊東洋経済」で雇用問題を取材し、非正規雇用の辛い実態を発信してきた記者の風間直樹さん。ブラック企業がまん延する原因として、「大学や子どもを持つ親世代に報道内容が『非正規雇用になったら大変。何でもいいから正社員になれ』と受け取られてしまった」ことを一因に挙げた。

 ブラック企業とは、法律を無視して過酷な働き方を強いる悪質な企業を指す言葉だ。その代表例に大手居酒屋チェーン店や介護施設を運営する著名な経営者の手口を紹介した。

 「ある介護施設では、経営者が労働時間を延ばして賃金を引き下げる際、従業員が反発すると『君たちはお年寄りの笑顔を見たくないのか』と言った。従業員は『不利益変更はとんでもないが、お年寄りを見捨てることはできない』と渋々引き下げを認めた」

 風間さんは「労働者のやりがいをフル活用して使い捨てにする企業は紛れもなくブラックだ」と強調。「やりがいばかりを重視すると、ブラック企業に絡め取られてしまう。若者はしっかり意識して」と警告した。

▼組合は失業問題に関心を

 都留文科大学の後藤道夫教授は、非正規雇用が増えている背景には、「失業時の生活保障が酷く、劣悪な雇用でも働かざるを得ない状況がある」と述べた。

 後藤氏によると、失業給付が縮小された際、「給付を受けられない失業者が増え、生活のために低賃金・不安定雇用で働くか、体を壊すまで今の仕事で無理をするかを迫られた」と指摘。こうした制度改悪に対し「労働団体は反対運動に力を入れてこなかった。日本型の長期安定雇用にどっぷりつかっていたためだ」と苦言を呈した。

 そのうえで、「正規雇用の崩壊は、労働運動の問題だ。労働組合が要求を通すにはストライキを構えるなどもっと力を持たないといけない」と語った。

 シンポは、全労連などが主催。春闘で取り組む「若者にまともな雇用を!」キャンペーンの一環だ。

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