京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2013年11月12日

相次ぐ経営者の「賃上げ」発言
来春闘で追い風にできるか

一時金ではなく月例給の引き上げを

 経営者から「賃上げ」に前向きな発言が相次いでいる。本音とは限らないものの、来春闘ではそれを追い風にできるかどうかが課題だ。特に、非正規労働者や中小・零細企業の労働者を含む全体の底上げにつなげることが求められる。

▲安倍政権、賃上げ後押し

 企業の決算発表が集中する10月下旬。円安で好調な輸出企業を中心に「景気も上向きつつあり、(ベアを)前向きに考えたい」(三菱自動車の益子修社長)、「賃上げを考慮しなければならない」(ダイキン工業の井上礼之会長)など前向きな発言が相次いだ。2008年のリーマン・ショック前の水準に迫る今期2兆円台の営業利益を発表したトヨタの小平信因副社長は「報酬として従業員に還元するのは当然だ」と決算発表の会見で語った。

 安倍政権が今春闘に続いて経営側に報酬アップを要請しているためだ。デフレ脱却には企業利益が労働者に回り、消費が回復することが不可欠。政府は、賃上げ実施企業が減税を受けやすくする措置を緩和するほか、法人税減税の検討も表明。甘利明経済再生担当大臣はテレビ番組で「企業収益が上がっているのに賃上げをしないのは、恥ずかしい企業だという環境をつくりたい」とアピールした。

▲一時金増では不十分  

 経営側の「前向き発言」は本物だろうか。労働組合からは「政労使会議の場では賃上げ発言は使用者側から一切出ていない」「明確に『賃上げする』とまでは言っていない」との指摘もある。賃上げムードが高まった13春闘では、ベアは一部企業にとどまり、多くは一時金・賞与の増額で妥結した。

 賃上げを求める世論は昨年以上に高まっている。「賃下げ」に言及した時代に比べれば、経営側の姿勢が前向きなのは事実。春闘では経営者に文字通りの月例賃金引き上げを行わせるよう運動を強めることが求められる。 大企業の正社員に賃上げするだけでは、格差と貧困が広がり、デフレ脱却は困難だ。非正規労働者や中小企業の労働者の待遇改善が不可欠である。最低賃金の引き上げや公契約法・条例の制定拡大、税制の見直しを含め、働く者全体の所得底上げに向けた運動が必要だ。

府職労ニュースインデックスへ