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2013年11月 5日

地域労連の困難打開へ
〈全労連の地域運動交流集会〉

争議で存在感を発揮

職場労組の結集をどう図るか

 全労連の地域運動を担い、実践してきた地域労連が近年、困難に直面している。人的にも財政的にも支えてきた公務員労組が人員と賃金の削減攻撃にさらされているためだ。拠点となる工場や事業所が減少していることも響いている。組織の維持と運動の発展に向けた検討は待ったなしだ。全労連は10月27、28の両日に神奈川県で地域運動の全国交流集会を開催。単産に加盟している職場労組の結集をどう図るか、などの課題について論議した。

▲「地域に出る余裕ない」

 全労連は、日本医労連をはじめとする単産と都道府県にある地方組織で構成されている。地方組織を正式メンバーに位置付けて重視しているのが特徴だ。

 その地方労連のもとにある地域労連は、現在460組織。働く者にとって最も身近な全労連運動の担い手なのだ。 
 地域労連の役割は、(1)加盟単産が異なる職場組合の交流や闘いの支援・共闘(2)公契約条例制定など地域での労働者要求の実現(3)民主団体とも共同した幅広い自治体要求運動(4)全労連が提起する全国的な運動の実践――である。

 ところが、近年は困難な活動を強いられているところが少なくない。 

 「職場の運動だけでも大変。とても地域の課題にまで手が回らない」

 「地域に出ると署名集めの仕事などが増える。お荷物に感じる」 

 「そもそもなぜ地域の運動に参加すべきなのか分からない」

 職場の組合からはこんな声が上がっている。

▲年金者組合の協力も

 公務員労組や拠点工場の労組が余裕をなくしているのが大きな要因だ。
 一方で、職場が厳しい時だからこそ、地域に出るべきだとの指摘もある。「争議支援を通じて連帯感や労働組合の意味を実感した」「社会保障や非正規労働者の問題に目を開かされた」などの効果である。
 全国交流集会では、職場組合の地域労連結集を図るため単産での論議と方針化を進めること、全自治体での支部結成をめざしている年金者組合に協力を呼びかけること、地域労連単位で「初等組合員教育」を実践することなどを提起し、検討を進めることになった。

「地域労連は人を育てる場」

 2日目の分散会では、「労働争議の際、地域の存在は不可欠だ」など、地域労連の役割を積極的に評価する発言が相次いだ。

▲争議解決の大きな力に

 「ほとんど機能していなかった地域労連が争議のときに存在感を発揮した」。こう話したのは、千葉の君津・木更津労連。一昨年のある解雇争議に地域が「支援する会」を立ち上げ、解決に貢献できたという。

 房総半島の南西部に位置する君津・木更津地区はこれまで争議はほとんどなし。担当者は「最初は会社前での宣伝行動は無理だと思った」と振り返る。しかし、そうした心配をよそに支える会には300人が集まり、社前や駅前宣伝を実施。裁判所への署名提出では毎週、支援者が部屋に入り切らないほどだった。 

 単独審だった裁判が合議に変わり、緊張感のある審議を行わせ、約1年で和解にこぎつけることができた。「普段派手なことはできないが、いざというときに備えて労連の力を維持することが必要だ」と語った。

 静岡では労働者性を争った生協の配送業務を担う委託ドライバーの裁判で地域労連が活躍。傍聴席が支援者で埋まるまでになった。「お互いの顔も分かり、地域とのつながりが深まった」と担当者はアピールする。JMIUの生熊茂実委員長は「地元の名前が書かれたビラを手渡す方が、住民にとって身近でハードルは低い。争議や組織化は地域が舞台。産別が企業内思考から脱却する場所だ」と強調した。

▲「産別では体験できない」

 2008年末にシャープ福山工場(広島県)で起きた派遣切り争議では、地域労組ふくやまに派遣労働者39人が加入し、若者が一斉に立ち上がった。地域労組には全国から多くの支援物資が届けられた。「それを目の当たりにした全教広島出身の組合役員は目の色が変わった。産別の中では体験できないことが地域にある」と全教本部の今谷賢二書記長は指摘する。
 別の労組からは「地域労連に組合員を出向させると、ものの見方が広がって人として優しくなった。地域は人を育ててくれる」と評価の声も。建交労は「各地に歴史的な争議を闘った人がいる。青年を取材に行かせ、じかに学ばせることができる」と説いた。

▲原発問題で地域運動

 地域の課題に組合員の関心が低く、集会参加がはかばかしくないという実情も語られた。

 こうした悩みに積極的に取り組んでいるのが、岡山県労会議。以前は女性部と非正規労働者を対象に学習会を開いても、話を聞いて帰るだけだった。質問もゼロ。そのため今年からケーキとコーヒーを出し、自分の仕事や趣味、悩みについて話し合う場に変えたところ、大好評だったという。担当者は「こちらが一方的にテーマを振るだけではダメ。まずは人間関係をどうつくるか」と話し、若者が親しみやすい交流から取り組むよう提起した。

 職場の外に出ることの意義も強調された。

 日本で唯一、県庁所在地に原発が立地する島根。その地方労連は「原発問題に対する若者の関心は高い。署名活動は地域が力を発揮する」と発言。北海道釧路地域の釧労連は「パートの正社員化を実現させたら、秋闘で話題になった。若者は非正規雇用の問題に敏感。地域に仲間がいれば、一人の相談でも闘って解決できる姿勢を示せる」、神奈川の湘南労連は「安保も原発も職場の中だけでは答えは見つからない。地域に出ることが必要だ」と呼び掛けた。

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