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2013年 2月 7日

「低賃金で競う時代は終えん」
2013春闘  

背景に中国の急速な賃金上昇 

 グローバル競争の本格化に伴い、経団連は「雇用か賃金か」を迫り、春闘で賃上げを求める労働側の勢いは次第に失われてきた。ところが、ここにきて「低賃金で競争する時代は終わりを迎えつつある」との声が上がっている。背景には成長著しい中国の賃金の急上昇がある。

▼「射程距離に入った」

 中国では近年、経済成長とともに賃金は毎年、二桁の伸び率で急上昇している。2011年の年間平均賃金は4万1799元(約52万円、1元=12・5円で計算)。10年前の1万元余りからの大幅な上昇だ。北京市では6万5683元(2010年、約82万円)にも及ぶ。

 「中国の賃金が日本の20分の1以下だった頃はとても太刀打ちできなかったが、今では(地域によっては)約5分の1の水準にまで近付いた。生産性で十分張り合える水準。『射程距離に入った』というのが現場の実感だ。10年前の意識ではいけない」。日本の製造業の強みを研究する藤本隆宏・東京大学大学院教授は、国際的な経営環境の変化を強調し、国内の生産拠点をなくしてしまうことに警鐘を鳴らす。

 教授の提言は、「闘うマザー工場」の確保。国内で実際に稼働する生産拠点がないと、海外の進出先で生産性向上を指導できず、うまくいかないと指摘する。

▼分配構造の転換点に

 米国では昨年来、製造業の「国内回帰」が報じられている。コンピューター最大手アップルは、パソコン製造ラインの再稼働とそのための設備投資を行う計画をトップが明かした。米・電機大手「ゼネラル・エレクトリック(GE)」も、湯沸かし器の製造ラインを中国から米国内に移したという。

 生産の全面的な海外移転では国内に技術や技能が蓄積されず、品質の低下や商品開発の停滞を招く。それどころかノウハウが他国に流出してしまったとの反省もある。

 国際的な経営環境が変化し、高度な技術、モラルを特徴とする日本の強みが生きる時代に入りつつあるとの、興味深い示唆だ。超円高の是正も追い風に加わるだろう。

 こうした変化を見れば、グローバル競争を口実に、十年一日の賃金抑制論を唱える「経労委報告」の安易さが際立ってくる。

 日本の強みは「人」。国際的な経営環境の変化に併せて、株主利益を重視し研究開発投資をおろそかにする経営の見直しや、非正規への置き換えで疲弊した職場の改善、「人への投資」を中心とする分配構造の転換が、いよいよ必要な時期なのではないだろうか。

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