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人事院、国の回避努力「不十分」 |
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別の3人には逆の判定 |
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2009年末の旧社会保険庁の廃止に伴い、職員525人が分限免職(解雇)とされた問題で、人事院は3月29日付で元職員の大島琢己さん(52)=大阪府大阪市=の処分を取り消す判定を下した。国の解雇回避努力を不十分としており、今後同じく解雇された元職員の処分も取り消される望みが出てきた。 一方、人事院は同日付で秋田県内の元職員3人の解雇は妥当と判断した。 判定では、当時社保庁を所管していた厚生労働省が、他の省庁に雇用確保の働きかけを十分行わず、残務整理のための定員も活用しなかった点を重視。「(職員受け入れを)一部増加させる余地はあった」と認めた。こうした状況は、解雇された他の職員にも当てはまり、復職への道筋が見えてきた。 ▼ずさんな面接で明暗 大島さんと秋田のケースで明暗を分けたポイントは、配置転換の希望者を選び分ける面接の評価結果だ。前者の場合は、同じ地域の支局内で大島さんより評価が低い職員が厚労省に配転されており、「人事の公平性・公正性を欠く」とした。その一方で、秋田の3人については面接の評価が低く、配転の可能性はないとみなした。 元職員を支援する全厚生労働組合によると、評価面接の時間はわずか15分で、面接官の印象でほぼ決まるずさんなものだった。今後こうした面接結果によって復職の可否が判断されてしまう恐れがある。 処分は、年金記録が失われた「消えた年金」問題に絡んで、社保庁が09年末に廃止されたことが発端。翌年から日本年金機構に業務は引き継がれたものの、懲戒処分歴がある職員を含む525人が解雇され、全厚生組合員39人が処分取り消しを求めていた。 大島さん「実感まだない」/旧社保庁の解雇取り消し/年金の信頼回復への思い今も 人事院の解雇取り消しを受け、旧社会保険庁職員の大島琢己さん(52)は4月5日に都内で連合通信の取材に応じ、「判定はうれしいけど実感がない」と胸の内を明かした。 1979年から働き始めた国鉄は、87年に民営化。「国民にとって一番大切な制度を司る行政機関だから」と社会保険庁に移ったが、「消えた年金」問題の余波で廃止が決まった。 仕事の評価も高く厚生労働省への転任を望んだが、「年齢が高い」と認められなかった。次の仕事もあっせんされず、「担当者に電話しても『まだ探している』と言われるだけだった」という。そのまま09年末に解雇され、「まさか2度も大きな組織改廃に巻き込まれると思わなかった」。 ▼「幸せになれる制度を」 社会保険労務士の団体が大阪で開く「街角の年金相談センター」で働く今も、制度の信頼回復への思いは変わらない。旧社保庁の後身である日本年金機構にも通うこともあるが、「昔は職員みんなが年金制度を良くしたいと頑張っていたが、今は職場に活気がない」と嘆く。「年金の仕事は好き。国民が幸せになれるきちっとした制度が必要だ」。 公務員の地位は回復したものの、民間職場である年金機構には戻れない。復帰先を含めて今後は未定だ。「先のことが分からず不安だ」と話す。支援を受けてきた国公労連の宮垣忠委員長に「よかったね」とがっちりと握手をされると、ようやく笑みがこぼれた。 |
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