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2013年 4月25日

国や県動かし、仕事を確保
大手電機メーカーの「追い出し部屋」

ソニー仙台/組合加入の相乗効果も  

 宮城県多賀城市のソニー仙台テクノロジーセンターで、「追い出し部屋」に在籍させられていた社員らが、4月までに新たな異動先を提示された。ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)の調べで分かった。宮城県内の労組が力を合わせ、国や県を動かした取り組みが原動力。たたかいを通じて労組に加わった組合員が、職場の同僚に加入を呼びかける相乗効果も生じている。

▼「オール宮城」で

 4月までに異動先を提示されたのは、「キャリアデザイン室」(以下・キャリア室)に在籍していた12人全員で、総務や製造現場への異動が提示された。

 キャリア室の撤廃を頑なに拒む同社の姿勢からみれば、大きな一歩だ。

 同労組は昨年から「ソニーは被災地の雇用と経済を守れ」と、会社の門前で訴えるとともに、県内の労組でつくる宮城県春闘共闘会議など「オール宮城」で支援を受けながら、国や県に対し、退職強要の中止やキャリア室の撤廃を求めるよう要請してきた。

 これに応じる形で、宮城労働局が立ち入り調査を行い、県も雇用確保を要請。「対ソニー包囲網」が築かれる中、今回の成果につながった。

 ただ、全員が異動できたわけではない。昼夜二交代制勤務の製造職場や、転居が必要な職場を提示されたものの、健康上の理由や家庭の事情で応じられない人もいる。

 そのため、社員の事情を踏まえた異動先を求めて交渉中だ。

▼3カ月で60人退職か?

 同労組の推計によると、キャリア室在籍者は4月現在で全国190人。1月から60人減った。相当数が退職したとみられる。

 ソニー版「追い出し部屋」は、長時間の面談や暴言はない。グループ内の配属先や社外の求人を探したり、新たな職業能力の開発と称する学習をさせられる。「内容はソフト」(労組の松田隆明委員長)だが、配属先や転職先を見つけられなければ、最低の業績評価をつけられて自動的に降格し、賃金は減額、一時金は大幅に減るという仕掛けだ。

 業績評価は退職金の額にも連動するため、「生涯賃金を考えれば今辞めた方が得」と在籍者にささやき、退職に導くのだという。

▼社員の安全ネットに

 一方、同社ではキャリア室に在籍していない人々にも、退職を迫る面談が繰り返された。退職強要の中止を求める労組への加入が相次ぐ中、対象者らは4月、懸念されていた「キャリア室送り」にはされず、異動先の提示を受けた。

 松田委員長は「退職を迫られた人たちは一様に『組合に加入した後、会社側のトーンが変わった』と話す。雇用を守るたたかいに参加して多くの支援を受け、次は自分が職場の仲間を労組に誘い入れている。組合員が組合員を呼ぶ状況だ」と語る。

 同労組は社内では少数組合だが、「たたかう労働組合」の伝統を受け継ぎ、「組合員の配置転換は労使の交渉事項」とする44年前の労使協定を今も守る。これが、退職強要に苦しむ人たちのセーフティーネットになっているのだ。

 退職勧奨をはねのけ、異動先を確保した50代の男性は、「3人の子を抱え、思い悩んでいた。雇用を守れたのは労組のおかげ。次は自分が『支える側』にまわりたい」。男性はこの春、労組執行委員の役目を引き受けた。

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