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2013年11月22日

理由も示されず失効に
日本の最低賃金(11)産別最賃編

東京の改定審議~出版最賃

 我が国唯一の出版の産別最賃が効力を失うことになりました。出版労連の役員は「理由が一切示されていない。極めて不透明」と最低賃金審議会の決定に憤ります。

▲引き上げは十分可能

 出版最賃が東京都の地域別最賃を初めて下回ったのは2010年。同年度と翌11年度には地賃額を上回るよう金額が改定されてきました。その際、対象業種の絞り込みを公益委員から打診され、12年度は出荷や配送などに従事する人を適用除外とし、乗り切りました。13年度も金額改定を申請しましたが、結果は「必要性ありに至らず」。出版労連東京地協連の住田冶人事務局長は「公益の打診を受け、対象範囲の見直しを行った翌年、いきなり廃止されるというのは全く納得できない。理由も一切示されていない」と憤ります。

 出版産業は賃金水準が高く、時給900円以下で働く人はわずか1・9%。1000円以下も多くないといいます。出版労連の企業内最賃の平均も約1100円(最高額は1554円)。より高いレベルでの賃金底支えが十分可能との主張です。組合としては出版最賃1300円以上を求めてきました。

 申請は、最賃協定や組合決議など労働者の合意に基づく方式。今年は、昨年より2000人以上多くの合意(産別最賃が必要と訴える組合決議)を集めていました。出版の業界団体も、改定の必要性がないとは述べていませんでした。

▲底上げがますます必要 

 一方、「出版不況」の近年、編集プロダクションや個人への外注が広がりました。最賃ギリギリの労働条件も珍しくない働き方です。同業界は人気が高く、雑務を担いながら正社員をめざす人や、趣味が高じて足を踏み入れる人も。低処遇・長時間労働が温存される仕組みでもあります。

 これらの働き手は産業区分が異なったり、形式上「雇用労働」と扱われず、出版最賃は適用されません。住田事務局長は「編集プロダクションなど外部への委託料は出版最賃をにらみながら決められている。ゲーム誌で隠れキャラやバグを探す仕事の求人では、出版最賃プラス1円で募集されるなど、底支え機能を果たしてきた」とその役割を説明します。 

 一層の外注化が予想される中、公正競争を確保するためにも「出版最賃による底上げが必要」と訴えています。

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