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2013年 9月26日

第3の矢は働く者への毒矢
安倍政権の産業競争力会議

「特区」による労働規制外し

 安倍政権の諮問機関で、首相が議長を務める「産業競争力会議」は9月20日、新設を検討している「国家戦略特区」内での、解雇規制や労働時間規制の「規制外し」を打ち出した。その内容は、労働者を有期雇用でいつまでも使い続けられ、残業代を払わずに深夜も長時間働かせることができ、解雇もほぼ自由、という内容。参院選挙前の予想通り、「アベノミクス」の第3の矢は、労働者保護規制を弱める「毒矢」だった。

▲「強要」危惧される

 「国家戦略特区」は、特定の地域で、雇用、医療、農業などの分野について規制緩和を先行する試み。産業競争力会議のワーキンググループ(WG)で検討されてきた。「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」とし、大胆な規制緩和を行う「第3の矢の要」と位置づけられている。

 20日の会議では、新規に設立する企業や外国企業が「より優れた人材を確保できるよう」に、特区内での3つの「特例措置」を打ち出した。

 一つが、有期契約を結ぶ時、労働者に「5年を超えた際の無期転換の権利を放棄することを認める」というもの。「権利を放棄しなければ契約更新しない」という強要が危惧される。

 次が、解雇ルールの変質。現在は合理的でない解雇は認められないが、「ガイドライン」を新たに設ければ、これに基づく解雇が有効になるという。

 最後に、年収などの要件を満たし、「希望」する人には、労働時間、休日、深夜規制を外す。深夜規制の除外は、2007年にホワイトカラーエグゼンプションの導入が目論まれた時にもなかった規定だ。

 対象となるのは、外国人比率が30%以上の事業所と、開業後5年以内の事業所。これに伴い、不当労働行為や、契約の押しつけ・不履行がないよう、労働者保護に万全を期すとしている。

労働行政にも矛先

 労働法の制定や見直しには政労使の三者で検討すべきという国際原則や、それに基づく労働行政、全国一律の労働者保護規制にも、矛先を向けているのが特徴だ。

 「雇用は特区になじまない」とする厚労省の主張に対し、WGは「労働者の属性、企業の特性に応じて制度に差異を設けることは例があり、否定されていない」と、労基法が持つ全国一律の最低基準としての役割をあえて無視する。 

 さらに、労働法の見直しは公益、労働、使用者の三者による労働政策審議会を通じて行うという原則についても、「労使間協議を行う場が労政審である必要はな」い、としている。

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