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2013年 7月19日

先進国ワーストクラス
日本の最低賃金

崇高な目的、果たせず  

 「この法律は、賃金の最低額を保障することにより、(略)労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」

 最低賃金法の第1条(目的)の条文です。現代日本社会の処方せんとも言えるような格調の高さですが、残念ながら目的を果たせていないのが現状です。

 企業は最低賃金を下回る賃金で人を雇ってはいけません。全国47都道府県の平均額は749円。年間2000時間働いても、150万円に満たない水準で、これでは食いつなぐのがやっと。ダブル、トリプルワークが必要です。

 日本の最賃の低さは、他の先進国と比べると歴然です。1ドル=100円、1ユーロ=130円で換算すると、時間給で最低額を定める英国、フランスは928~1222円と日本を上回ります。米国は若干下回りますが、オバマ大統領は2月、米国全土に適用される連邦最賃について、2015年までに9ドル(900円)への引き上げを提案。実現すれば、日本はこのままでは先進国中最下位となるでしょう。

 さらに、その国の通貨で生活必需品がどれだけ買えるかを見る「購買力平価」で換算すると、日本は米国を下回り、最下位に。

 国連社会権規約委員会は5月、日本政府に対し、「人たるに値する暮らしができるよう決定方法の見直し」を勧告しています。

貧困を前提に設定国内賃金と比べても低く

 日本の最低賃金は、他の先進諸国と比べて低いだけでなく、国内の賃金水準と比べても極端に低いのが特徴です。貧困な暮らしを前提にした設計になっていると言わざるを得ません。

 そのことを示すのが、OECD(経済協力開発機構)の統計資料。フルタイムで働く人々のちょうど真ん中の賃金と比べて、その国の最低賃金がどのくらいの水準なのかを表したものです。日本は37・0%で、最下位クラスです。

 他方、最も高いのがフランスの60・1%で、オーストラリア、ベルギー、アイルランドが50%を超えています。これらの国々の賃金水準は、日本と比べて決してそん色ありません。

 ちなみに、厚生労働省が示した貧困ライン(2009年)は、単身世帯で可処分所得が年125万円、2人世帯176万円、4人世帯250万円。日本企業の平均的な所定労働時間である月155時間を最賃で働くとすると、子ども1人の1人親世帯では、最も高い東京(時給850円)でも届きません。

冬の時代から2桁改定へさまざまな試行錯誤行われる

 「ベアゼロ春闘」が進展した2000年代前半の最低賃金改定審議は、「0円か1円か」の攻防が続く冬の時代でした。05年に中央最賃審議会が3~2円の改定目安を示した際は、有額であることがニュースになったほどです。

 転機は、偽装請負や日雇い派遣など雇用の劣化を伝える記事が新聞紙面を飾った07年。政労使でつくる成長力底上げ円卓会議が「従来の考え方の延長線ではない」審議を要請し、14円の引き上げに。翌08年は「生活保護との整合性」を義務付けた改正最低賃金法が施行され、2桁改定が軌道に乗ります。10年には「2020年までにできる限り早期に全国最低800円、全国平均1000円をめざす」とする「雇用戦略対話合意」が政労使で確認され、中期的な到達目標が設定されました。

 しかし、東日本大震災後は伸びが鈍化しています。

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