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監視カメラで組合員に嫌がらせ |
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委員長を「容疑者」扱いも |
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労働組合を結成すると、「監視カメラ」が設置され、職場内に警察が介入する──。そんな驚くべき現実が金属加工機器メーカーのナノテック(千葉県柏市)にある。 ▼立ち話で突然出向 「組合員に対し計17台の監視カメラがある」。JMIUナノテック支部で委員長を務める藤原眞二さん(45)は、昨年5月の組合結成からの激しい組合弾圧の一端について切々と説明し始めた。 結成の動機は、2008年秋のリーマン・ショック後に止まった一時金の復活だ。同社はそれまでほぼ社長個人用にヘリコプター2機やクルーザー1台を購入するなど資金に余裕があったが、経済危機で一転。当時次長だった藤原さんを含む管理職の賃金が約3割カットされ、一時金もストップして年収が大幅にダウンした。減給は当初、「景気が回復するまで」を条件にした緊急避難措置だったが、賃金カットは今も続く。 組合結成以降、監視カメラは増え続けた。以前は玄関や施設の外など敷地内にカメラは計4台程度だったが、組合員のデスク正面などにも設置された。会社は「社内にある顧客の財産や機密書類を見張るための防犯カメラ」としているが、藤原さんは「書類のない製造現場にカメラがあるのに、社長室と経理の部屋には一切ない」と首をかしげる。団体交渉で問い詰めても、「それは会社の判断だ」と一蹴された。 カメラにはマイク機能もある。女性社員が立ち話でカメラに不満を漏らしたところ、翌週に関連会社の製造現場に出向を命じられた。藤原さんは「社員はみんな言葉を選んで世間話をしている」と明かす。 ▼組合攻撃で事業に影響 嫌がらせは、藤原さんが「容疑者」扱いされるまでに及んでいる。 昨年11月下旬、社長は事務所内の自らの机上に手紙を突然放置した。手紙は藤原さんが9年前に昇進した際、社長個人に宛てた礼状だが、誰にでも読める状態だった。社長に内線で撤去を求めたが、連絡が取れない状況が1カ月半続き、今年1月にやむなく回収した。ところが、社長は「重要書類が紛失した」と警察に被害届を提出。社員全員が事情聴取を受け、藤原さんは窃盗容疑で出頭させられた。 「明らかに組合への精神的圧力をかけたもの」と藤原さんは怒りを隠さないが、警察は藤原さんを書類送検する方針だという。激しい攻撃で結成当時19人いた組合員は8人に減少。大半が会社のやり方に嫌気をさして職場を去った。人手不足のため、製造ラインの稼働率が低下するなど事業に影響も出ているという。 7月には被害届の撤回や一時金の支給などを求めて断続的な時限ストライキで望んだが、全てゼロ回答。今も街頭宣伝やビラ配りなどで会社の不当性を訴えている藤原さんはこう嘆く。 「2年前まで私は普通の中間管理職だった。そんなに組合をつくることが悪いのか。社長は収益を上げることよりも、組合敵視ばかりで人材まで流失している。自分の首を絞めていることになぜ気付かないのか」 |
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