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2013年 3月18日

正社員の地位認める
マツダ派遣切り裁判で山口地裁 

違法派遣は「公序良俗に反する」 

 自動車メーカー大手・マツダの防府工場(山口県防府市)で働いていた元派遣社員ら15人が、同社に正社員の地位確認などを求めていた裁判で3月13日、判決があった。山口地裁の山本善彦裁判長は、同社で行われていた違法な派遣労働は無効であるとし、原告13人については正社員の地位にあると認め、未払い賃金の支払いを命じた。派遣切り裁判で正社員と認める判決は、極めて異例。

▼3カ月と1日だけ雇用

 マツダは2004年4月以降に製造業務派遣の受け入れを始めた。防府工場では派遣の受け入れ期間(当初1年間、07年度から最長3年間)制限を超えないよう3カ月と1日だけ同社の「サポート社員」に切り替えて同じ業務のまま直接雇用し、契約が終わると再び派遣に戻すことを繰り返していた。

 08年秋の景気後退に伴う受注減により、防府工場では約1600人の派遣、サポート社員が相次いで雇い止めされた。裁判で原告らは、マツダが期間制限をすりぬける目的でサポート社員制度を導入したのは違法だとし、マツダの正社員としての雇用関係にあったと訴えていた。

 派遣制度上、企業は派遣受け入れが終了してから3カ月(クーリング期間)を経過すれば、過去に働いた期間が通算されず、再び派遣労働者を使うことが可能だ。しかし、厚生労働省の通知では、あらかじめ同じ職場に戻ることを予定するなど単に期間制限を逃れることを目的とした運用は認めていない。山口労働局長は09年6月、サポート社員制度の運用の一部が労働者派遣法に違反しているとして、同社を是正指導した。

▼黙示の労働契約が成立

 判決は、サポート社員制度などの運用実態は派遣法違反だとし、「常用代替の防止を目的とした派遣法の根幹を否定する施策。実質は労働者派遣と評価できない」と指摘した。ただし、派遣法違反とするだけでは労働者が救われず、罰則もないため企業側の責任を不問に付すことになる。このため、判決は労働者と派遣元との派遣労働契約を公序良俗違反で無効とする「特段の事情」があると認定。この雇用の空白期間はマツダとの間に期間の定めのない「黙示の労働契約」が成立していたものとみなし、直接雇用の経験がある原告13人については、マツダの正社員の地位にあると認めて未払い賃金の支払いを命じた。残りの原告2人の請求は棄却した。

 原告団事務局長の佐藤次徳さん(47)は「正直うれしい判決だ。ほかの非正規切り争議にも良い影響が出ることを期待する」と喜びを噛みしめた。一方、マツダ側は「主張が認められず遺憾だ」と述べ、今後の対応を協議するという。

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