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ロックアウト解雇も可能に? |
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日本IBMの労組が警鐘 |
情報システム大手の日本IBMで乱暴な解雇が相次いでいる。安倍政権が「国家戦略特区」の目玉として地域限定で労働規制の大幅緩和を検討しているが、日本IBMのような事態が広がらないか、心配されている。 ▲約1年で組合員26人解雇 「本日以降、労務の提供は求めません。出社を禁じます」──。6月下旬の昼過ぎ。東京・豊洲事業所の開発部門でプロジェクトマネジャーだった男性(52)は、所長に会議室まで呼び出されて4日後の解雇を予告された。男性が拒否すると、その日のうちに私物をまとめて会社から退去させられた。ロックアウト(締め出し)解雇だった。 解雇の理由は「業績が低い」の一文のみ。ところが男性は「システム監査技術者」など社内でも珍しい難易度の高い資格を持ち、仕事でも大きなミスはない。唯一理由があるとすれば、「ストライキをやったり、機関紙を配ったり組合活動をしていたこと。それ以外思い当たる節がない」と話す。 JMIU日本アイビーエム支部によると、こうした解雇が昨年7月以降相次いでおり、組合員だけで26人が解雇された。いずれも同じ文面での解雇予告だ。大岡義久委員長は「実態は組合つぶしだ」と言い切る。 ▲政策シフトでリストラ加速 解雇予告通知には「ただし書き」があり、期日までに退職を申し出た場合、退職加算金と合わせて「会社負担で再就職支援会社のサポートが受けられる」と書かれている。男性に手渡されたのは人材派遣大手のパンフレットだった。 安倍首相は「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型に政策シフトする」と表明し、再就職支援を行った事業主に給付する「労働移動支援助成金」の増額を検討している。しかし大岡委員長は「あっせんで就職が決まったという話は聞いたことがない」と明かす。 さらに一連の解雇には「共通点がある」という。解雇は四半期決算の締めに当たる6、9月に集中し、全体の8割超を占める。前出の男性は「決算が迫ると、追い込みで解雇している。解雇は社員の業績とは関係がない」と語り、労働移動支援型へのシフトで経費削減を理由にしたリストラが横行すると懸念する。 ▲「解雇特区」に警鐘 政府の有識者会議では現在、労働者を解雇しやすくする「国家戦略特区」が検討され、対象を弁護士や院卒者などの専門職に限るかどうか議論が交わされている。中身は確定していないが、日本IBMが進めているような指名解雇さえまかり通る恐れがあるのだ。 組合側は6、8、9月に解雇撤回を求める訴訟を東京・大阪地裁に起こし、昨年の提訴と合わせて計10人が立ち上がった。8月下旬には、東京都労働委員会が解雇に関する団体交渉に会社が応じなかったのは不当労働行為に当たると判断し、改善を命じた。組合執行委員で6月に解雇された本社勤務の男性(48)は「会社には圧倒的な力がある。政府は労働法制を守る方へかじを切ってほしい」と訴える。 合理性・社会的相当性のない解雇は本来、違法で無効だが、特区内では合法となりかねない。大岡委員長はこう警鐘を鳴らす。 「2008年に日本IBMで大量の退職強要が行われた後、電機業界では退職強要が相次いだ。このロックアウト解雇が認められれば、日本は本当に解雇が自由な国になってしまう」 |
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