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2013年11月 5日

「現場の多忙化解消が不可欠」
教員の削減迫る財務省

教職員数めぐる政府内議論

 公立小中学校を対象にした「教職員定数」をめぐり、政府内で議論が起きている。増員で少人数学級の拡充を求める文部科学省に対し、財務省が「少子化で子ども一人当たりの教員数は増えている」として削減を求めているためだ。教職員組合からは「現場の教員は多忙化している。実態を踏まえた議論をしてほしい」との声が上がっている。(写真はイメージ)

 教職員定数は義務教育の場合、約70万人。各学校の学級数に応じて担任教員を配置するため、1学級(標準40人)当たりの子どもの数を少なくすれば教員数が増えることになる。

 文科省の来年度予算の概算要求によると、3800人の増員(82億円)を要求している。小1・小2で実現している少人数(35人以下)学級の推進や小学校の理科、英語、道徳の指導強化、いじめ問題や障害のある児童・生徒への特別支援教育にも力を入れる方針だ。学力向上ときめ細かい教育を実現するため今後、7年間で2万4000人の増員をめざしている。

▲少人数学級は効果低い?

 これに対し財務省は10月28日の財政等審議会で異論を唱えた。少子化で1989年以降、子ども一人当たりの教職員数は毎年2200人増えているとし、逆に子ども一人当たりの教員数を維持すれば「今後7年間で1万4000人が削減できる」と主張。その削減分910億円を、学力テストの充実やスクールカウンセラーの活用、財政健全化に充てられると提案した。

 少人数学級の推進については、全国学力テストの点数を分析した結果、「学力の向上に有効との結論は得られなかった」と指摘。統計上、いじめ問題や不登校の解消にも「密接な関係は見出せない」と疑問を呈した。推進する場合であっても、現行定数内の学級担任ではない教員16・6万人の配分を見直せば、「少人数学級は、増員がなくても十分に実施できる」との考えも披露している。
 
▲子どもの成長保障して

 全日本教職員組合(全教)の波岡知朗執行委員は「少人数学級の効果を学力テストの平均点だけで比べるのは一面的だ。子どもの成長や発達にどう影響を与えるかを考える必要がある」と話す。1クラスで抱える子どもが多いほど教員は事務的・機械的な対応にならざるを得なくなる。子どもの成長と学びをしっかり保障することこそが必要ではないか」と懸念。その上で、「子どもにどんな教育をするのか財務省は語っていない。現状でも教員数は不十分だ。子どもたちのために予算を手厚くすべき」と再考を求めた。

▲教育現場の実態見るべき

 日本教職員組合(日教組)の加藤達夫広報部長は、いじめ問題や授業時間の増加で「教員が子どもと向き合う時間が確保しにくくなっている」と子どもへの影響を指摘する。

 授業や部活、教材研究に追われる厳しい労働実態を放置したまま、教職員数を減らせば「子どものためにどんなに頑張ろうとしても、限界が出てくる。現場は子どもが好きで熱意が高い人がほとんどで、精神的に燃え尽きることになるのではないか。担任を持たない教員がいない学校もある。定数削減は実態を踏まえていない」と苦言を呈した。

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