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2013年 3月 7日

年度末クビ切りに募る不安
国・自治体の非正規労働者 

ハロワークで2200人失業も 

 年度末、国や自治体などで働く非正規労働者が4月以降の契約更新で正念場を迎えている。3月2日、都内で開かれた「官製ワーキングプア」集会で当事者らが実態を訴えた。

▼職場でも組合でも差別

 「毎年失業との闘い。それが本当に辛い」。こう話すのは、神奈川県内の公立高校で理科の実験助手を行う女性(58)だ。1年有期の臨時任用職員として、契約更新を11年続けている。

 女性は以前、理科の臨時教員だったが、「同じ臨時で働くなら助手をやってくれ」と言われ、やむなく職種変更に応じた。教員ではないため正規職員への登用試験を受けることができない。月収は約30万円。「正規職員の場合と比べると10万円低い。教員のときは研修もないまま正規と同じ働きぶりも求められた」。職場内の労働組合に加入して非正規の不安定な働き方の見直しを求めているが、「非正規の声が届いていない。組合の集会で『黙っていろ』と言われたこともある」という。

 一番怖いのは、「職場を失うこと。不満は我慢している」。来年度は継続できたものの、生徒数減少を理由に同僚の数学の臨時教員は更新されなかった。あと2年で定年。60歳以降は授業時限に応じて働く非常勤講師しか選択肢はなく、より不安定な働き方を強いられる。

▼契約更新で職務評価せず

 この3月に全国で約2200人の非正規職員のクビ切りが行われるのは、求職者に求人紹介などを行うハローワークだ。国の労働行政の職員でつくる全労働省労働組合の濱野五月・中央執行委員は「国の定数削減の影響で、乱暴な雇い止めが行われようとしている」と訴える。

 ある職場では、4月に採用する非正規職員を一般公募したうえで、一部の職員に「あなたは長く働いているので(応募しても)採用しない」などと告げたという。職員の中にはスキルアップのため、数十万円を自腹で負担して産業カウンセラーの資格を取得する人もいるが、「有能な人であっても切られてしまう。国は助成金を支払って企業に正社員化を促す施策を行っているのに、自らは正規化をしようとしない」と批判する。

 とりわけ2年前の東日本大震災の際に大幅増員された岩手、宮城、福島の3県で削減人数が多い。濱野さんは「被災地で求人倍率は上がっていても、雇用のミスマッチが起きている。そうした中で多数の職員を切ることが求職者のためになるのか」と苦言を呈する。

▼非正規の待遇改善が必要

 職員全体の4割超に当たる約20万人の非正規職員が働く日本郵政グループでは、10年度に始まった「10万人正社員化」が現在、事実上中断している。郵政産業労働者ユニオンの上平光男さんは「正社員化の道は制度上あるが、ハードルが並大抵ではない。職場を去る人や試験を受けることを諦める人もいる」と内情を明かし、「非正規職員がいなければ会社の業務は回らない。正社員化と均等待遇の実現による労働条件の向上が必要だ」と指摘した。

 集会を主催した全労連公務部会の浪岡知朗幹事は、職場内の臨時・非常勤職員の多くが組合未加入だとしたうえで、「組織化の取り組みと同時に最低賃金の引き上げや労働法改悪阻止を進めていきたい」としている。

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