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労働規制の緩和阻止で結集 |
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労組が垣根超えて参加 |
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労働規制の緩和を進める安倍政権に対し反転攻勢の動きが強まっている。労働組合や市民団体、法律家らが結集する市民集会が12月13日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた。昨年12月の政権発足後、雇用や貧困問題に取り組む団体が垣根を超えた初めての集まりで、「安倍政権の雇用破壊は許さないぞ」と訴えた。 ▲労働3団体そろい踏み 「労働法制はかつてないほどの大きな危機を迎えている」。こう警鐘を鳴らしたのは、集会を主催した日弁連の山岸憲司会長だ。一時的・臨時的業務に限定されている派遣労働を解禁する動きなどに触れ、「不安定・低賃金雇用の拡大や長時間労働、過労死、過労自殺の問題がさらに深刻化する」と危機感を募らせた。 日弁連はこの間、雇用ルールの緩和に懸念を表明してきたが、野音集会は初の試み。雇用ルールを「岩盤規制」とあげつらい緩和を進める安倍政権を「日弁連がめざす雇用法制とは相いれない動きだ」(山岸会長)と批判。政権との対決姿勢を鮮明にし、労組や市民団体に協力を求めた。 労組からは、連合、全労連、全労協などナショナルセンターの垣根を超えた労組の代表・幹部がそろい踏みし、労働法学者やNPO法人・自立生活サポートセンターもやいも参加。7年間勤務した派遣先を雇い止めされた女性は「簡単に切り捨てられ、派遣先と話し合うこともできないのが派遣だ。格差社会ならぬ差別社会だ」と訴えた。 ▲労働規制は関心低い? 労働規制の緩和をめぐっては、雇用に関する「国家戦略特区」を設けて解雇ルールの緩和や労働時間規制の適用除外(ホワイトカラーエグゼンプション)の導入が検討されていたが、いずれも見送りに。ところが12月に入り規制改革会議が労働時間規制の緩和、解雇規制を緩める「限定正社員」制度の創設を提言。年末には、企業が人を入れ替えれば何年でも派遣労働者を受け入れられる新たな労働者派遣制度の報告書がまとめられる見通しだ。 一方、集会では課題も浮き彫りになった。1週間前に同じ場所で開かれた秘密保護法の反対集会には1万5000人が押し寄せたのに対し、市民集会の参加者は2000人。人数では2割にも満たず、世論の盛り上がりの低さがうかがえた。労組も連合は副事務局長の出席にとどまり、結集への温度差も見られた。 ▲来年の通常国会が正念場 規制緩和の動きは年明けにも本格化する見通しだ。来年1月下旬にも始まる通常国会では労働者派遣法の「改正」案や、有期労働者の無期雇用転換の「延長」法案が提出される。夏以降には、厚生労働省内で議論が続いている労働時間や多様な働き方(限定正社員)に関する報告書が提出される。特例的に個別企業の規制緩和を認める「企業実証特例制度」で、雇用規制を緩める恐れも強い。 国会は自民、公明両党が安定多数を占め、改悪阻止のハードルは高い。集会では、「(2006年の第一次安倍政権下の)ホワイトカラーエブゼンプションのように運動で押し返さないといけない」(和光大学の竹信三恵子教授)の声も上がった。安倍政権下でも、過労死防止基本法案の提出やブラック企業対策などで前進している部分はある。世論の関心を一層高め、国民を巻き込んだ労働運動の強化が求められている。 公益委員案の撤回を/派遣法見直しで全労連 全労連は12月17日、労働者派遣法の見直しを審議している労働政策審議会・労働力需給制度部会と厚生労働大臣に対し、報告書骨子案(公益委員案)を撤回すべきとする意見書を提出した。内容が使用者側意見に傾き過ぎていること、雇用安定に逆行することなどを理由に挙げている。 需給制度部会は12月12日に骨子案をまとめた。期間制限に関する専門業務と一般業務の区別をなくし、有期雇用の派遣と無期の派遣に分けたうえで、新たな規制を行うこととしている。この内容について全労連は「労働者派遣を常態化し、正社員から派遣への置き換えを急速に進めかねない大改悪だ」と批判している。 意見書は、骨子案が労組や法曹界、市民団体の意見を軽視して使用者側意見に偏った内容になっているとし、「公労使三者構成の審議会のあり方からも大きな問題」と指摘している。 |
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