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2013年 4月25日

「国のあり方問われている」
〈TPP交渉参加 産別からの提言〉

建設連合 野村昭典書記長  

 民主党政権当時の菅直人首相がTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を突然表明してから足掛け2年間議論し、今年2月の中央委員会で「現状においては交渉に入るべきでない」とする産別見解を確認しました。地方経済、雇用、防災に重大な影響が及ぶのではないかと懸念しています。

 東日本大震災では、自衛隊や消防、警察がじん速に津波被災地を救援したと報じられていますが、実際はガレキの山ですぐには入れませんでした。道路がある程度整備されて初めて入れた。

 では誰が整備したのか。重機(パワーショベルなど)を持つ地元の建設業者たちが「このままでは大変だ」と、自ら率先して道路を確保したのです。建設業は国民生活を守るためには無くてはならない国の基幹産業です。

 TPPには「非関税障壁」をなくす分野に「政府調達」が含まれています。国や地方自治体が発注する公共工事やサービス、物品の調達がそれです。現在、公共工事への外国企業の参入は国や都道府県、政令指定都市に限られ、一定規模以下の工事への参入は許されていませんが、こうした歯止めが「非関税障壁」とみなされる可能性があります。

 もちろん、外国企業は重機や労働者を日本に置くわけではありません。過当競争になれば元請けとして著しく低い価格で入札し、うわまえをはねて利益を確保することも危惧されます。当然そのしわ寄せは、下請け労働者の賃金や労働条件、安全面に及ぶでしょう。

 ただでさえ建設業は労働条件が悪化し、若い世代の入職は減り、離職が進んでいます。

 経済性だけを優先する結果、労働者も重機も持たない外国企業の参入を安易に広げ、地方の建設業をこれ以上疲へいさせてもよいのでしょうか。建設業も農業もいったん壊れたら戻すのは不可能。国の安全保障にも関わる問題です。

▼独自文化認めない制度

 もう一つの懸念がISD条項です。企業が非関税障壁によって損害を受けたと、相手国を提訴できる制度です。
 入札の公平性を確保するため、自治体は英語の仕様書作成を義務付けられる可能性があります。地域経済の安定、雇用確保を目的に地元建設業者に優先発注する官公需法、賃金を底支えする公契約条例もおそらく抵触するでしょう。下手をすれば、多額の賠償金を取られかねません。

 それぞれの国には独自の文化や歴史、風土があって多種多様なのに、経済的側面のみを重視し、そうした違いを認めない仕組みです。「それはおかしいんじゃないか」と素直にそう思います。

▼「国益」損ねる懸念

 マスコミ報道は関税の問題ばかりに焦点を当てています。医療保険や環境など国民生活に大きく関わる領域で、「国のあり方」に関わる制度や慣習が「非関税障壁」とされ、改変を迫られかねないことには目が向いていません。

 TPPは経済規模で言えば、日米の2国間協定に近い。早期に交渉参加してルール作りに加わるべきという意見もありましたが、過去の日米経済交渉を顧みれば日本が米国と対等に交渉して国益を守れるとはとても思えません。

 沖縄の在日米軍基地問題、日米地位協定の改定、「横田空域」(関東甲信越地域をまたぐ)が米軍の排他的管理区域である問題はどうでしょうか。日本国民が大切と考えている多くの課題で、日本政府は具体的成果を勝ち得ているとは思えません。

 私は「反米主義」ではありません。「自由にして民主的な労働運動」をめざす立場で労働運動に携わってきました。FTAやEPAといった経済連携協定も否定はしません。

 ただ、国のありようがグローバルスタンダードの名の下に米国式に変えられ、日本国民の生活や安全、そして国家主権が阻害されかねないTPPは、問題があり過ぎます。少しでも課題があるならば、それがクリアされるまで慎重に検討すべきだと考えます。(連合通信)

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