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2013年 4月23日

契約社員89人、一斉雇い止めへ
ハウス食品改正労契法悪用か

ユニオン側は撤回訴え  

 食品メーカー大手のハウス食品が、販売促進業務の契約社員89人全員に対し、「5月以降は契約更新しない」と明記した5カ月間の契約に同意するよう迫っている。契約社員らを9月末に雇い止めにし、業務を外部委託する会社に再就職させる方針。中には勤続10~20年以上の人もいることから、契約社員20人が「納得できない」とユニオンを結成。従来どおりの雇用継続を訴えている。

▼来年10月から個人委託

 雇い止めを迫られているのは、スーパーマーケットなどで商品の陳列や整理、新商品の案内、受注を行う「フィールドサポーター」(FS)と呼ばれる契約社員たち。担当エリアごとに得意先を回り、売り上げアップに努めている。

 会社は3月下旬、これまで6カ月間の契約を繰り返し更新してきた全国のFS89人に対し、一斉に5月以降の雇用を5カ月間とした上で、「今回をもって最終契約とし、以降の更新は行わない」と明記した契約書を渡した。期間満了の10月以降については希望すれば同じ労働条件で委託会社に1年間雇用されるが、その後も働きたければ、個人事業主として委託会社と委託契約を結ぶという。就業条件は未定だ。

 これに対し、東京や埼玉などのFS20人が雇用継続を求めて「ハウス食品ユニオン」(派遣ユニオン加盟)を結成。4月18日に団体交渉を行ったが、会社側は雇い止め方針を撤回しない構えだ。

▼「何の説明もなかった」

 埼玉で10年以上FSとして働く50代の女性は「突然の不更新で頭が真っ白。60歳まで働けると信じていた」と肩を落とす。これまでの更新では、必ず上司との面談があったが、「今回は契約書を手渡されただけ」。不更新条項の記載に気付かず、契約書にサインしたFSもいるという。都内で23年間働いてきた女性は「得意先とのつながりは人間関係が大切。外部委託にしてうまくいくのか」と首をかしげる。

▼「期間定める雇用を」

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「ハウス食品は2月、FSに『長く働いてほしい』と話している。方針変更は、今春施行された5年超の有期雇用社員を無期雇用に転換できる改正労働契約法の対策を講じたため」と指摘。長年働いてきたFSは「期間の定めのない雇用にすべき」とする。

 一方、ハウスは「新しい営業体制を構築することは以前からの課題で、10月の持ち株会社体制への移行と併せて実施することにした」と説明し、改正労契法の影響を否定。ユニオンとの交渉は「誠意ある対応をする」としている。

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