京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2013年 3月12日

「1人」「5分」でも意味ある
JMIU東京南部のリレースト 

少数組合が春闘で「団結」示す 

 金属関係の労働組合でつくる全日本金属情報機器労組(JMIU)が、春闘で少数組合の職場を回りながら、支部・分会のストライキを支援している。その一つ、3月7日に行われた東京地本・南部地区協議会(南部地協)のリレーストに同行取材した。

▼1人でも会社は注目

 光学機器メーカー大手のニコン。前日の「回答延期」に抗議して、支部委員長の森本和弘さんが単独で1日ストに入った。「要求どおりに回答があれば回避したが、延期ではやらざるを得ない」と語る。

 支部の要求額は、一律2万5000円の賃上げ。職場の春闘アンケートを元に決めた。組合員は6人だけだが、アンケートには50人以上が声を寄せた。過去10年ベアゼロのなか、「賃上げを期待するコメントもあった」と力を込める。

 品川区内の同社ビル前には、激励にバスで駆けつけた地協メンバーやOBら約20人が「内部留保を従業員に還元せよ」と声を上げた。その傍らでは、ストを監視する社員が参加者一行を乗せたバスが立ち去るまで様子をうかがっていた。例年たった1人での決行だというが、森本さんは「会社は組合を意識している。昔は『1人なんか意味がない』という声もあったが、やることに意義がある」と強調する。

▼5分ストで「抗議」

 「ちまたではIBMはブラック企業と呼ばれています」──。出勤ピークの朝8時半。東京・日本橋にあるIT大手の日本IBM本社前で、支部委員長の大岡義久さんがハンドマイクを片手に声を振り絞った。

 春闘要求の筆頭は「解雇・退職強要をやめさせよう」。同社では現在、退職強要や組合員の解雇など3件の裁判が係争中だ。支部組合員約20人が退職強要・リストラ反対を訴えるおそろいの青いゼッケンを身に付け、出勤途中の社員らにビラを配った。
 宣伝終了後の午前9時から組合員が一斉に5分間ストに突入。春闘時のストは「覚えていないほど久しぶり」(大岡さん)。超短時間の理由はスト分の賃金を保障する組合の財政が厳しいためという。それでも「組合員から反対意見はほとんどない。たった5分だが、少数組合でも団結できることを会社に見せることが大切だ」と語る。

▼「地域で団結できる」

 南部地協が展開するリレーストの参加組合は、少数組合ばかりだ。真空ポンプメーカーの宇野澤組鉄工所玉川工場(大田区)では、作業着姿の組合員3人が正門前で1時間ストを決行した。一方、それを横目に従業員が働き、業者などの往来も絶えない。

 会社は2期連続の赤字を理由に定昇凍結を示した。しかし、「低賃金で職場の定着率が悪い。若者が会社を背負って、希望を持てる賃金にしないと会社は衰退してしまう」(宇野沢支部)と賃上げへの思いは切実だ。工場の稼働を止めることはできないが、ストは組合の真剣さを経営者にぶつける唯一の手段だった。

 同地協の小泉隆一議長は「少数組合でも地域の仲間とストが打てるようにリレーを始めた」と語る。「闘う組合」を掲げるJMIUならではの工夫だ。埼玉や千葉、長野、大阪などでもリレーストが展開された。組合員の高齢化や人数の減少は気がかりだが、厳しい時だからこそ社内や地域に組合が闘う姿を示すことに意義があると感じた。

府職労ニュースインデックスへ