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2013年12月17日

労働者派遣制度、自由化へ
厚労省部会が骨子案提示

期間制限は事実上廃止

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の部会が12月12日に開かれ、労働者派遣制度の見直しに向けた報告書の骨子案が示された。派遣の受け入れ期間を制限する現行ルールを事実上廃止し、派遣先企業が人を入れ替えたりすれば何年でも派遣労働者を使い続けることができる「派遣大幅自由化」の内容だ。年末までに厚生労働大臣への建議としてまとめた上で、来年の通常国会に労働者派遣法の「改正」法案が提出される見通しだ。

▲3年で「派遣切り」の懸念

 骨子案は、大学教授らの公益委員がまとめたもの。これまで期間制限がなかった、通訳やソフトウェア開発などいわゆる専門26業務を廃止。その上で規制を業務から人単位に変更する。

 派遣会社に無期雇用される派遣労働者と60歳以上の高齢者については、企業は何年でも派遣のまま使い続けることができるようにする。無期雇用の派遣を受け入れる際には、派遣先が能力や経歴などを確認する事前面接(特定目的行為)を解禁する。

 一方、有期雇用の派遣労働者の受け入れ期間は、現行どおり最長3年まで。3年を超えた場合、派遣先が直接雇用の労働契約を申し込んだとみなす制度を適用する。ただし派遣先側は、過半数労働組合か過半数代表者から意見を聞けば、同意がなくても派遣労働者を入れ替えて3年を超える受け入れが可能だ。派遣先が直接雇用の義務を避けるため、3年で契約を終了させ、そのまま解雇される「派遣切り」の続出が危惧される。派遣元には、新たな派遣先の提供など雇用安定措置を講じる義務が課されるが、違反しても何のペナルティーもない。

▲労働者保護は不十分

 派遣労働者の処遇改善としては、派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金などの情報提供、食堂などの福利厚生施設の利用機会を与えるなどの配慮を派遣先に求めているが、これも強制力はない。労働者側が強く求めていた派遣先労働者との均等待遇ルール、派遣先の団体交渉応諾義務の導入は見送られ、労働者保護は不十分なままだ。無許可派遣の取り締まりは強化するという。

 期間制限をめぐっては、厚労省の有識者研究会が8月、日本人材派遣協会の要望に沿った派遣労働の自由化を認める報告書をとりまとめた。部会では、労働者側委員が「制度の根幹である、正社員を派遣に置き換えることを防ぐ『常用代替防止』を堅持すべき。不安定・低賃金雇用を拡大すべきではない」と主張し、一時的・臨時的業務に限る現行ルールの維持を求めていた。しかし骨子案は、使用者側の意見を全面的に採用。制度開始以来の常用代替防止原則を骨抜きにする大幅な規制緩和となっている。

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