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リストラ頼みで業績回復 |
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大企業が「高利益」という裏側 |
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日本の大手企業の決算見通しが相次いで発表されました。新聞は「6年ぶりの高利益」「V字回復」などの見出しを掲げましたが、手放しで喜べるものでしょうか。そのカラクリを見ると、リストラや下請けいじめが功を奏した格好。先行きは不安です。 ■NEC 3年ぶりの黒字。前期1100億円の赤字から304億円の黒字に。昨年国内で行われた「1万人リストラ」の効果です。「面談」という名の十数回に及ぶ退職強要や、退職に追い込む「追い出し部屋」は社会問題になりました。 ■ソニー 5年ぶりの黒字。ソニー生命など金融部門と映画、音楽事業の黒字が、製造部門の赤字を穴埋めしています。リストラを繰り返しながら数十億円もの役員報酬をもらっていた米国人前CEOが去り、「世界のソニー」の復活なるか。ここにも「追い出し部屋」が。 ■トヨタ自動車 営業利益は前年比約3.7倍の1兆3200億円。同社は原価改善分4500億円の増益効果をあげていますが、その多くが下請け単価の切り下げにあるとみられます。原材料を輸入に頼る下請けは今、急激な円安で苦境に。 ■日立 前期比約50%減の1700億円の黒字。電機メーカーで比較的堅調なのが重電部門を擁する企業です。鉄道など社会インフラを運行システムごと「パッケージ」で世界の市場に売り込みを仕掛けます。輸出には「原発」も。 ▼「株主最優先」が元凶 かつての日本企業は「従業員、地域、得意先のため」という多面性を重視する意識がありました。 1990年代後半の金融自由化以降、企業間で株式を持ち合う慣行が崩れ、米国の投資ファンドが次々に経営に参画。M&A(企業買収)の圧迫から、株主利益を最優先する米国式の経営が主流になっていきます。 モノづくりの現場にも変化が生じました。工業経済が専門で、電機産業の実情に詳しい藤田実桜美林大学教授は「技術者たちを上から管理してもいい製品はできません。ある程度自由な研究・開発を保障しなければならないのに、『ともかく黒字を出さなければならない』と、コスト削減を進め、現場のゆとりをなくしてきました。結果、革新的な製品を生み出せない構造になってしまっています」と、日本の電機メーカーの問題点を指摘します。 乱暴なリストラも行われています。一方で日本の優秀な技術者たちを招き入れた韓国「サムスン電子」が、世界の市場を席巻しているのは何とも皮肉な話です。 目先の利益ばかりを追いかけリストラに頼り、「あとは野となれ山となれ」という企業経営のあり方を、そろそろ考え直すべき時なのかもしれません。 |
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