京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2013年11月 7日

労働組合の街頭宣伝を妨害
群馬県警が繰り返し介入

「表現の自由侵す」の抗議も無視

 群馬県警が労働組合などの宣伝活動を繰り返し妨害している。県庁前の街頭で拡声器を使ったり、ビラをまいたりする行為は「県の施行細則で許可が必要だ」というのが県警側の理屈だ。これに対し労組や法律家などでつくる「街頭宣伝の自由を守る群馬の会」(群馬の会)は「県の規制は道路交通法の範囲を超えており、言論・表現の自由の侵害だ」と抗議し、11月1日に県警に妨害中止を申し入れた。(街頭宣伝の妨害に抗議する「群馬の会」メンバーを取り囲む群馬県警(8月22日、群馬県庁前。提供、群馬県労会議))

▲最大12人の警官が包囲

 「なぜ妨害してくるのか分からない」──。こう困惑するのは、群馬県労働組合会議の安藤哲雄事務局長だ。今年7月19日に県労会議が「不当な賃金削減は止めさせよう」と地方公務員の賃下げに反対する抗議宣伝を県庁前で行っていたところ、複数の警官が突然現れ、「許可は取っているのか」などとしつこく問いただした。

 県労会議は「道交法上、一般交通に著しい影響を及ぼさない方法であれば、許可はいらない」と抗議したが、県警は「県道交法施行細則では許可が必要だ」と主張。現場確認のためとして写真撮影を始め、帰り際に「次回は検挙する」と警告したという。宣伝への介入は11月5日現在、県労会議が加盟する「群馬の会」や共産党に対するものを含め計5回実施された。最大12人の警官が取り囲んで、カメラとビデオカメラによる撮影が行われた。

▲施行細則が道交法を逆転

 県警が根拠とする県の施行細則は「道路において旗、のぼり、看板、あんどんなど著しく人目を引き、もしくは交通の妨害となるおそれがある物を持ち、(中略)、拡声器を使用して行う広報宣伝行為」(35条5号)について警察署長の許可が必要と定めている。しかし安藤事務局長は「道交法には祭礼行事やロケーションしか例示されておらず、交通への著しい影響を及ぼさなければ許可は必要ない。細則が上位の法律を踏み越えるのはおかしい」と指摘する。過去の裁判例でも「同様の考え方が確立されている」と語り、施行細則による指導強化は行き過ぎだとの見方を示す。 

 交通への影響が大きいデモ行進などの際は、県労会議は事前に届出を行っている。仮に街頭宣伝まで届出が必要になれば「事前に時間や場所を特定しなければならず、申請は費用(2300円)も時間も掛かる。緊急に宣伝したい場合は間に合わない。事前の検閲に当たり、表現の自由が侵害される」と懸念する。

▲群馬県警は取材拒否

 一連の宣伝活動への介入について「群馬の会」が県警・県公安委員会に施行細則の改正と宣伝活動への妨害を行わないよう再三求めているが、県警の対応は頑なだ。
 県内では昨年から宣伝カーへの規制が強化されている。会が昨年10月に「言論・表現の自由を保障した憲法に違反する」と撤廃を要請すると、県警は「憲法論争はしない」と受け取りを拒否した。会は抗議した上で県警については「請願」に切り替えたが、宣伝活動への介入を含めて具体的な回答はいまだに一切ないという。
 現在、妨害は県庁前に限られているが、安藤事務局長は「県庁前で宣伝ができなくなれば、全県に広がる恐れがある。不当なことなので早く妨害を止めるべきだ」と訴える。一方、群馬県警は連合通信の取材に対し「広報は県警記者クラブに加盟しているメディアだけを対象にしている。お答えは差し控えたい」として、取材を拒否している。

府職労ニュースインデックスへ