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解雇しやすい「正社員」づくり |
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すでに企業の7割が「限定型」導入 |
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仕事や勤務地を限定する「限定正社員」。非正規労働者の処遇向上を促す受け皿になるとして、政府が導入を進めようとしています。しかし、経団連の提言を見ると、その狙いは、解雇が簡単にできる「正社員」群をつくりたいとの思惑がみえみえです。 ▲クビ切りの道具に 経団連が4月に出した提言では、限定正社員について、「勤務地ないし職種が消滅した事実をもって契約を終了しても、解雇権濫用法理がそのまま当たらないことを法定すべき」としました。 雇用期間の定めのない労働者を会社都合で解雇するには、それが本当に必要なのか、回避する努力を尽くしたのか、労組と誠実に話し合ったか、などが厳しく問われます。それを、限定正社員については、今の仕事や職場がなくなればクビにできるルールにしてしまおうというのです。 正社員と非正規労働者の間の「中間的な働き方」として、処遇向上のステップと位置づけられますが、安倍政権の最大の後ろ盾である経団連は「クビ切りのしやすさ」に力点を置いています。 ▲非正規からの転換は少ない 厚生労働省が2011年に行った調査(約2000社が回答)では、職種や勤務地、労働時間を限定する働き方を導入している企業は51・9%。そのうち、正社員から限定型への転換実績は約7割の企業に及びます。一方、非正規社員から限定型正社員への転換は4割程度でした。処遇の低い限定正社員に追い込まれている現実があります。 限定型の働き方を設けたメリットとしては、人材の確保(40・0%)や人材の定着(24・7%)など前向きな回答が上位を占めていますが、賃金の削減(19・2%)や、労務コストの削減(14・4%)などリストラ目的も少なくありません(複数回答)。「非正規からの転換促進」はわずか6・8%にとどまりました。 事業所閉鎖などを行う際、他職場への配置転換などの措置が正社員と同じように行われると回答した企業は、「職種限定」で8割近く、「勤務地限定」でも6割に上るところが興味深いところ。個別企業の労使が独自に話し合って雇用保障を制度化しているのです。 クビにできるルールができれば、歯止めをきかせることも難しくなってしまいます。 ▲「際限なく」がおかしい 「限定正社員」の議論のおかしなところは、「正社員」は際限なく働かせることができるという誤った考え方から出発していることです。労働基準法は1日8時間、週40時間制で、際限のない働かせ方を想定していません。配転について、介護などの家族責任を持つ人に対する遠隔地配転を無効とする裁判所の判断も示されています。 やるべきは、過大なノルマを背負わされ、サービス残業で一日中仕事に追われる正社員の働き方の改善です。長時間労働にしっかりと歯止めをかけ、その分、正社員の雇用を増やすこと。今必要なのは、そのためのルール整備と、それを守らせる政労使の取り組みです。 |
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