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2013年 3月18日

今年も「一時金の攻防」
金属大手集中回答 

自動車9メーカー労組が「満額」 

  トヨタや日立など金属大手労組の回答が3月15 日、出そろった。登録55組合のうち、ベースアップなど賃金改善要求はJAMの3組合にとどまるなか、交渉は総じて「一時金の攻防」となった。中でも自動車はメーカー労組11組合すべてが前年の一時金回答額を上回り、9組合が「満額」を獲得。電機、鉄鋼、造船重機など他業種では明暗が分かれた。

▼「デフレへの歯止めに」

 トヨタは、定期昇給など賃金制度を維持する原資として、要求通り「7300円」を確保した。家電の不振で苦しむ電機も、メーカー10組合が「賃金体系維持」を確認。中堅中小でつくるJAMはアズビル(旧山武)の1労組が900円程度の賃金改善分を獲得している。

 一時金(年間)は、「トヨタ」が205万円、「日産」204万1000円、重電中心で好業績の「日立」160万3930円、「住友金属鉱山」180万円と高額の回答が並んだが、自動車を除き明暗が分かれた。

 金属労協(JCM)の西原浩一郎議長は同日の会見で、「デフレの進行に一定歯止めをかける役割を果たせたのではないか」との見解を表明。本格化する中小の交渉に向け「これから真価が問われる」と語った。

 JCMは3月26日に中小の交渉状況について記者発表を行う。議長自ら中小の追い上げをアピールすることにしている。
 
▼アベノミクスに関心集中

 会見では、首相が異例の賃上げ要請を行った「アベノミクス」の交渉への影響に質問が集中した。

 西原議長は「労使自治が原則」としたうえで、「政府がすべきは、雇用が不安定な非正規労働者のこれ以上の拡大を食い止め、均等均衡処遇を進めることだ」と発言。デフレ脱却を掲げながら、解雇を容易にし非正規を増やそうとする安倍政権の矛盾を突いた。

 連合の古賀伸明会長も同日、「我々はここ数年、賃金上昇によるデフレ脱却を主張してきた。政府もようやく同じ認識に立つようになったと思っている」と、本家本元をアピールした。

▼これからが本番だ

 大手労組がベースアップを要求しない、金属労協の最初のヤマ場は単なる「通過点」に過ぎない。中小の交渉が本格化するこれからが春闘の本番だ。

 「(金属大手をよりどころとしないで)すべて自前で交渉しなければならない」。ある中小労組の幹部は腹をくくる。

 春闘は従来、トップカンパニーの労組が賃上げ回答を公表して引き上げ額の相場を作り、組合のない職場も含めて社会全体が後を追う「相乗効果」が持ち味だった。だが近年、大手労組がベアを求めなくなり、中小の労組はよりどころを喪失。毎年の昇給分も確保できず、大手との賃金格差はますます広がった。

 安倍政権の賃上げ要請については「業績好調の企業への要請と受け止めている。賃金ではなく業績連動の賞与で」(中川能享・電経連理事長)という受けとめが一般的。世界に冠たるトヨタや日立は高額の一時金を取れても、経営環境の苦しい中小零細企業はそうもいかない。

 連合春闘は改革の過渡期。けん引役不在のなかで、中小の労組は自前の交渉を展開する。期せずして吹く賃上げへの「追い風」を、中小と非正規の底上げにいかにつなげるか。「アベノミクス」を利用する、したたかな取り組みを期待したい。

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