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2013年 8月 5日

賃下げ圧力強める安倍政権
地方公務員

止まらない自治体リストラ

 デフレ脱却を約束した安倍政権。しかし、働く人に賃下げを強いては元も子もないのではないでしょうか。地方公務員の賃下げでは、7月の措置というヤマは越えましたが、これで終わりそうにはありません。6月に閣議決定した「骨太方針」は、交付税削減を断行し、一層の自治体リストラを進めようとしています。 

▼交付税をテコに

 安倍政権は、2013年度予算で地方交付税を約4000億円を削減しました。そして返す刀で、地方自治体に対し、7月からの国家公務員並みの賃下げ(7・8%)を「要請」したのです。

 一昨年、国の賃下げを決める際、前政権は「地方に波及させない」と約束していました。

 しかし、安倍政権は一転、「要請」という形で、賃下げを迫ったのです。自治体固有の財源とされ、使い道が問われない地方交付税を削減し、いわば干ぼしにして賃下げに誘導する手法は、「地方自治」を踏みにじるものと言わざるを得ません。

 給与関係予算が04年から2兆円も削減され、歳入が減る中、多くの自治体で独自の賃金カットが行われてきました。中には今年の3月でようやく数年に及ぶカットが終わった自治体もあったといいます。正職員は減る一方、「官製ワーキングプア」と呼ばれる非正規職員は増加、自治体の雇用は様変わりしました。

 全国市長会など地方6団体が今春、「要請」に対し、一斉に批判したのはこうした事情がありました。

 6月議会を終えた現在、関係労組によると、組合のある自治体のおおむね半数弱が「削減なし」。削減したものの、何らかの緩和措置を決めた自治体を合わせると、9割近くが国の意向通りには従わなかったことになります。

▼身を切る自治体に交付金
 
 しかし、これで一件落着とはいかなさそうです。

 安倍政権は6月、今後の経済財政運営の方向性を示す「骨太方針」で、リーマン・ショック(08年)以降、地方交付税を増やすために設けられていた「特別枠」(13年度・総額1兆5000億円)の廃止の方向を示しました。13年度の交付税の総額は17・1兆円ですから、影響は小さくありません。

 さらに、「方針」は地方分権を進めると述べる一方で、「地方交付税において、新たに、地域経済の活性化に資する算定を行革努力と地域経済活性化の2つの観点から行う」と、交付税をテコにした誘導を行う意向を表明しました。

 「防災」「減災」などの公共事業のために新たな借金をした自治体や、「行政改革」という名のリストラを進めた自治体に地方交付税を優先的に配分するという宣言です。「交付金を政府のひも付き補助金に変質させようとしている」という批判が出るのも当然でしょう。

 住民の安心と安全を守る自治体職員の役割は、東日本大震災で改めて明らかになりました。こうした人たちの誇りと働きがいを傷つけ、デフレ脱却にも逆行する賃下げが許されていいはずがありません。 

 賃下げに応じなかった自治体には、秋以降、再び政府による圧力が強まることも考えられます。来年度以降の動きも含めて、警戒が必要です。

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