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「おかしいことには声上げたい」 |
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解雇撤回と謝罪求める |
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「週刊少年チャンピオン」などを発行する秋田書店(東京都千代田区)が読者プレゼントを不正に水増しした問題で、不正を告発して解雇された元社員の女性(28)が9月11日、解雇無効と慰謝料330万円の支払いを求めて同社と上司だった編集長の男性を相手取り、東京地裁に提訴した。同日都内で会見した女性は「おかしいことには声を上げたい」と語り、不正の手口と退職強要の実態を明かした。 ▲当選者の名前は創作 女性は子どもの頃から漫画編集者に憧れ、2007年4月に秋田書店に新卒で入社した。好きな漫画は手塚治虫氏原作の「ブラック・ジャック」。少女漫画雑誌の編集部に配属された後、7月頃から読者プレゼントの違法な水増しに加担させられた。 先輩社員と一緒にプレゼントを購入する際、当選予定者が10人いるにもかかわらず、「一つずつしか買ってはいけない」と指示された。不審に思い編集長に尋ねると、会議室に呼ばれて「新入社員のくせに仕事を選ぶのか。会社にいたかったら文句を言わず仕事をしろ」と怒鳴られた。 担当した雑誌「ミステリーボニータ」のプレゼント購入費用は8万円以内と決まっていた。担当するのは主に新入社員で、いったん費用を立て替えて領収書を提出していた。当選者は芸能人の名前などを参考につくった。それを編集長らが確認して紙面に掲載。「編集部の人間なら不正は全員知っていた」という。 ▲脅しとパワハラで休職 女性はその後も不正に異議を唱えたが、副編集長は「そのうち慣れる」と取り合わなかった。編集長からは「部外者には他言するな」「もし話をしたら、おれはお前をつぶす」と脅された。やむなく一人で仕事を続けたが、嫌がらせは激しさを増した。 「女は仕事を辞めて家庭に入るのが一番だ」 「おれは目障りなやつは全て排除してきた。意味は分かるよな」 あからさまな退職強要だった。仕事もほかの社員より多く負担させられ、連日長時間の残業を強いられた。その後、女性は不眠や全身のけん怠感、抑うつ状態に陥った。11年3月に適応障害と診断。半年後には休職に追い込まれた。 これに対し会社は「女性が勝手に賞品を盗んだ」として昨年3月末に休職中のまま懲戒解雇した。 ▲「ブラックの代表格」 消費者庁は今年8月、女性と首都圏青年ユニオンの情報提供に基づき、不正表示の事実を認定。秋田書店に再発防止策を講じるよう命令した。同社は謝罪文をホームページに掲げたものの、不正は女性の休職後も続いていたことが判明している。しかし、「窃盗」のぬれぎぬを着せられたままだ。 同社は戦後間もない1948年に「日本の子どもたちに正義の精神と夢の世界を取り戻し、希望を与えよう」と創立された。青年ユニオン・青年非正規労働センターの河添誠事務局長は「全く悪びれない態度に深い怒りを感じる。秋田書店はブラック企業のチャンピオンだ」と批判する。 今も通院生活が続く女性はこう訴える。 「小さい頃からの夢や心と体の健康を失い、地獄の日々だった。それでも私はおかしいことに声を上げたい。上層部が隠蔽(いんぺい)を図る体質は何も変わっていない。子どもに夢と希望を与える、読者のための会社であるべきです」。 |
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