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2013年 5月30日

6月議会がたたかいのヤマ場
地方公務員賃下げ

政府のルール無視許すな  

 地方公務員の賃下げをめぐる攻防は、6月上旬までの地方議会がヤマ場となりそうです。デフレ解消に逆行し、地方自治や労使自治を踏みにじる手法には、全国市長会など地方公共6団体も厳しく批判。自治体職員の労組は、阻止に向けた取り組みを強めています。

 安倍政権は、今年度予算で地方交付税を減額し、既に7・8%を引き下げた国家公務員並みの賃下げを地方自治体に求めました。

 そもそも地方交付税は、自治体間の財政格差をなくし、必要な行政サービスを全国あまねく提供するため、国が地方に配分する自治体固有の財源です。使い道も問われません。スト権や労働協約締結権を制限される公務員の賃金は、代償措置として人事院などの第三者機関の勧告を通じて決めるのがルールです。 政府のやり方は、いわば自治体を兵糧攻めにして、無理やりに賃下げしようとする乱暴なもの。ルールを全く無視しています。

 地方公共6団体は4月22日、自治体が自主的に決めるべき職員の賃金を交付税減額で削ることは「あってはならない」と厳しく批判。新藤義孝総務相は同日、「今回限りの臨時的かつ例外的な措置」と釈明に追われ、各自治体の6月議会の終了後、国と地方の協議の場を設けることを約束せざるを得ませんでした。

▼防災対策にも逆行 

 政府は、賃下げする理由を「防災・減災事業の推進のため」とも説明していますが、これもおかしな話です。震災対策は、国の責任で対策を取るべきであり、職員の賃金を削って付け焼刃で捻出するものではありません。

 東日本大震災では、ライフライン復旧や支援物資配布などを通して、自治体職員が災害時の復旧・復興の要になることが明らかになりました。一方、過疎地では財政難のため職員の約半数が非正規である自治体も少なくなく、東北の被災地でも近年の定員削減が復旧・復興の足かせになったとの指摘も出ています。

 災害に強い自治体をつくるために今なすべきは、賃下げのための地方交付税減額ではないはずです。

▼賃下げの悪循環も

 民間賃金への悪影響も心配されます。中小の多くはまだ春闘交渉が決着していません。

 ある中堅・中小の製造業の産別幹部は、「円安による原材料や燃料の高騰、発注企業の海外進出で、経営者の先行き不安が強く、厳しい交渉を余儀なくされている。地方公務員の賃下げを利用して、難癖を付けてくる可能性もある」と懸念を語ります。

 労組のある職場では、こうした悪乗りをはね返すこともできますが、中小企業のほとんどの職場は未組織。賃下げの悪循環が起こる恐れがあります。

▼「条例制定にNOを」

 5月20日現在、32道府県で削減方針を決定済み。市町村はこれからです。自治体職員の賃金改定は条例で定めなければならず、6月議会が最初のヤマ場となります。性急な条例制定を許さない取り組みが全国で始まっています。

 自治労連は、当局や住民、民間労組との共同を追求しながら、地域経済への影響を訴えてきました。猿橋均書記長は「かつてない共同の条件が広がっている」と手応えを語ります。

 今回の「賃下げ要請」は、自公政権が今夏の参院選で票を得ようと国民うけを狙ったものと言えます。地方自治や防災事業を政争の具におとしめることを許してはいけません。

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