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2012年12月 6日更新

  最低賃金制度廃止・解雇規制緩和政策は許さない 
京都自治労連書記長談話
 
-「日本維新の会」の選挙公約に異議を表明する-

 自治労連は、日本維新の会が選挙公約に掲げる最賃制度・解雇規制緩和政策に異議を唱える書記長談話を発表しました。

 日本維新の会は、11月29日、衆議院選挙の政権公約を発表し、その政策実例として「解雇規制の緩和」、「最低賃金制の廃止」を打ち出した。

 自治労連は、「日本維新の会」という国政政党の政策に対し、今の自治体職場や地域における非正規・公務公共関連労働者の実態を見ないものであるばかりか、果てしのない賃下げと労働条件悪化競争に労働者を巻き込むことを意図するものとして、断固異議を表明する。

 自治体構造改革、集中改革プランのもとで、全国の自治体では正規職員の「非正規」への置き換えがすすめられ、平均で3割を超える非正規雇用労働者が、劣悪な賃金・労働条件のもとでも本格的・恒常的業務を担っている。また、「安上がり」を意図した公務公共業務の市場化が進められ、競争入札制度のもとで、賃下げ競争が進められている。これら非正規・公務公共関連労働者は、保育士など専門職を含めて地域最賃すれすれの時給設定となっており、公募をしても応募者が定員に満たないという事態ばかりでなく、同種の業務の民間地場賃金を押し下げていることが、この間、地方労連とともに取り組んできた自治体キャラバンの中でも明らかとなっている。

 最低賃金制度は、憲法25条や憲法27条2項を基礎に定められており、これを廃止することは、憲法の趣旨に背くこととなる。また、日本政府は最低賃金制度に関するILO26号条約を批准しており、これを廃止することは、日本が国際条約を破棄することにつながる。

 また最低賃金制度は、1959年の最賃法制定以来、極めて不十分ながらも、労働者の賃金の底支えの役割を担ってきた。とりわけ、労働者の粘り強い運動で、2008年の法改正で「生活保護制度との整合性」がうたわれて以降、それ以前の改定に比べれば、一定の引き上げが図られてきている。

 しかし、それでもなお、全国平均749円(フルタイムでも年収150万あまり)と、国際的に見ても極めて低い水準に抑え込まれている上に、地域別最賃制となっており、東京850円、大阪800円、沖縄653円と、地域間で大きな格差が存在している。「廃止」などではなく、一層の改善こそが求められている。

 もし「最賃制」を廃止すれば、賃下げの歯止めが一切なくなり、地場賃金が際限なく引き下げられる。また、非正規労働者の賃金にとどまらず、連動して正規労働者の賃金も引き下がる。それに加えて、日本維新の会が言うように、解雇規制を緩和し労働市場を流動化すれば、非正規労働者の雇用不安や低労働条件は改善されず、正規労働者が非正規並みの不安定雇用と低賃金になるだけである。日本の労働者を「モノ扱い」し、今後さらに労働条件の切り下げを狙う、財界・大企業が大喜びする政策であり、労働者の暮らしと地域経済を決定的に破壊するものである。

 日本維新の会は、各界からの批判を受けて、急きょ12月4日、「最低賃金制の廃止」を「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」に修正したが、市場メカニズムに任せられないからこそ「最賃」制度があるのであり、批判をかわそうとするものと言わざるを得ない。

 自治労連は、解雇自由、底なしの賃金引き下げ自由の社会をめざそうという日本維新の会の企みを許すことはできない。同時に、2013国民春闘を通じ、賃金デフレにストップをかけ、地域経済の安定をはかるためにも、「すべての労働者の賃上げと雇用の安定」、最低賃金制度の改善に向け、全力をあげるものである。
2012年12月5日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均 


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