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2012年 8月10日更新

   核兵器のない世界、原発ゼロの世界を 
「第35回自治体労働者平和のつどい」広島で開く
 
広島市長、長崎市長などからメッセージ

 2012原水爆禁止世界大会が8月2日から9日にかけて開催され、広島大会期間中の8月5日、「第35回 自治体労働者平和のつどい」が開催されました。全国15都府県から130人が参加しました。

つどいは実行委員会主催によるもので、自治労連本部と静岡・広島・長崎の3県本部・3市の労組に加え、今年から福島県本部が加わって準備・運営に携わりました。

 現地を代表して広島自治労連・大石委員長から現地歓迎挨拶があり、原水爆禁止運動の対抗軸としての「核の平和利用」政策がアメリカと財界によって進められてきた経緯を語り、「1954年3月のビキニ水爆実験から翌年に第1回原水禁世界大会がおこなわれ、さらにその翌年、日米合同で広島に日本で最初の工業用原子力発電炉建設計画が持ち上がる。米議会では『広島こそ原子力の恩恵を受ける資格がある』と言っていた。このような経緯でつくられた原発が事故を起こした現在、私たちは『過ちを二度と繰り返さない』立場から、核兵器廃絶と原発ゼロのたたかいをすすめよう」と呼びかけました。自治体首長から寄せられたメッセージが紹介され、今年は広島市長、長崎市長に加え、福島県の南相馬市長、二本松市町、双葉町長からも寄せられました。

◆野口邦和日大准教授が記念講演「原発を考える~今、私たちに求められるもの~」

 今年のつどいでは、核兵器廃絶運動と原発ゼロの運動の関連性を深めることを重視し、日本大学准教授・日本原水協専門委員の野口邦和氏を招き、講演を受けました。氏は放射化学・放射線防護学研究者の立場から、福島第一原発事故以降の放射性物質・放射線の状況と内部・外部被爆の影響を、原爆と比較しながら科学的に解明、「線量で判断すれば、人体への深刻な影響は予想されない。しかしチェルノブイリのように25年たっても帰れない地域があることは確実だと考える」と、被災者にたいする事故補償の重要性を示唆。そして科学的分野としての原子力の研究をすすめる立場から、「原発は安全性と使用済み核燃料の処理方法が確立せず、軍事転用が完全に禁止されない限り、容認できない。私も脱原発の立場」と語りました。またその後の質問に応え「原発ゼロ・再稼働反対の運動において、科学的な放射能の影響に対する認識を共有することが、一層運動を発展させる力になると確信している」と述べました。

◆各地の運動交流~長崎、神奈川、福島から~

 長崎自治労連から、県内21全自治体を訪問した憲法キャラバンのとりくみが報告されました。5回目となるキャラバンを通じて、自治体との協議の場としてかみ合った懇談ができる相互関係がつくられてきたことがのべられました。とりわけ平和行政の課題では、現在も軍需産業としての三菱造船所(イージス艦の造船など)と米艦船軍港があり、県内で唯一「国の防衛政策に協力して」いるとして平和市長会議に参加していない佐世保市について「軍事工場があるため戦中に甚大な爆撃を受けた佐世保は、戦後、憲法理念が柱に据えられた平和産業港湾都市を掲げた。しかし戦後の占領政策と安保体制のなかで、再び転換させられた歴史がある。このことを踏まえたうえで、どのように対話していけばよいかを考えていきたい」と語りました。
 神奈川の青年の平和運動について、横浜市従からが報告。2011年の平和大会・沖縄にたくさんの青年が参加し、その参加に向けて「ピース・ミーティング」をおこない、そうした活動から原水禁大会への参加をはじめ、今後の青年の運動につなげていくことが述べられました。
 福島の現状と自治体労働者の思いを、郡山市職労が報告。「原発事故以来、安全に安心して暮らす権利が奪われた。住民の減少傾向がすすむなかで、除染対応など非日常の業務に奮闘し続けている。一方で、職員のメンタルが激増している」といった状況が語られ、そのなかでも住民のいのちとくらしを守る自治体労働者として、今後どうすべきか考えていきたいとの思いを語りました。

◆世界と連帯し運動をすすめよう

 集会の最後に長崎自治労連・里委員長が閉会あいさつ、「世界大会分科会で広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長から『原発ゼロをめざす運動は、先々のエネルギー問題での世界的大混乱を未然にくい止めるものだ』という話を伺い、感銘を覚えた。賃金闘争、その他あらゆる課題も、究極としてはよりよい社会を実現するためのものだ。私たちの運動は世界に繋がっている。その思いで、求められる運動をともにすすめよう」とよびかけ、意気高く閉会しました。


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