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2012年 4月17日更新

         全国449人の首長が懸念を表明
地域主権改革を問う(下)
 
「国民の安全守る機能が弱まる」

 政府の「地域主権改革」は、中央集権体制ではなく、住民に身近な行政を拡充することをうたってきた。ところが、本当なら歓迎するはずの市町村長から反乱の狼煙(のろし)が上がっている。特に、「国の出先機関改革」には全国449人の首長が懸念を表明、拙速に進めないよう政府に要望しているのだ。一体、どうなっているのだろうか。

▼基礎自治体の声を聞け

 3月5日、出先機関改革に批判的な市町村長約100人が東京に集まった。「地方を守る会」(代表世話人・國定勇人新潟県三条市長)の総会である。
 総会で採択された決議の要旨はこういう内容だ。

 ・東日本大震災では、地方整備局などと市町村が一体となって救援活動やインフラ、産業の復興が行われ、国の出先機関の役割が改めて認識された
 ・現在の議論にはこの教訓が全く反映していない。これでは復興を遅らせるばかりか、大規模な自然災害の危険性に常にさらされている日本で国民の安全安心を守る国の体制を弱体化させることになる。大きな危機感を持たざるを得ない
 ・国の出先機関のあり方を議論するなら、基礎自治体の意見を十分に反映すること。拙速に出先機関廃止論を進めるべきでない

▼全国市長会も意見書

 ポイントは2つある。一つは、政府の「出先機関改革」では防災・復興の機能が弱体化すること。2つには、「地域主権」と言いながら基礎自治体の意見が無視されていることへの異議申し立てだ。

 会場からも、「整備局の地方移管は国の責任をあいまいにする。国土を守るのは国の責任だ」「要望しているのは整備局の廃止ではなく、機能強化だ」「そもそも地域主権では、われわれ基礎自治体が中心になるべきだ」などの声が出た。 

 「守る会」の会員は現在449人。全市町村長の4分の1を超えている。3月26日には、全国市長会も拙速な議論を戒める意見書を政府に提出した。まさに地方からの反乱だ。

▼民間委託の動きを警戒

 基礎自治体の声を無視した「地域主権改革」など言葉の矛盾であり、悪い冗談でしかない。市町村長らの抵抗が強まれば政府も「改革」を強行しにくくなるだろう。
 出先機関の廃止に反対してきた国土交通労組は、こうした流れを歓迎する。ただ、懸念もあるという。

 高津公明副委員長の説明はこうだ。
 「運動の結果、地方整備局が国の機関として残ったとします。しかし、実際の業務を行っているのは局の下にある事務所や出張所。ここが本当に残れるのかどうかが疑問なのです」

 既に、東北の被災地では道路の復興・整備にあたって、民間事業者との大胆な協力や委託が進められようとしている。その先にあるのは、事務所や出張所がなくても公共事業を発注できる体制づくりである。

 つまり、形だけ整備局が残っても、肝心の中身は民間主体になりかねない、というのだ。少なくない市町村長が防災・国土保全の機能低下を心配している。そうした切実な声に対して、本当に「大丈夫」と言い切れるだろうか。

 高津副委員長は、名実ともに国の責任が果たせる体制が必要、と訴えている。

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