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2012年 5月16日

「原発銀座」に広がる戸惑い 
直下地震の危険、再稼働…

揺れる若狭地方 

 再稼働問題を抱える福井県若狭地方が揺れています。再稼働反対には違和感があるが、事故も怖い――。「原発銀座」の住民は複雑な思いを抱えていました。

▼不安だけど「恩がある」

 「安全に運転できないならば、もうやめてほしい」

 断層による連動地震が真下で起こる可能性が指摘された敦賀原発について、敦賀市に住むある主婦はぼやきました。

 政府が再稼働を進める大飯原発の地元・おおい町の住民も4月26日に開かれた説明会で、「国の安全対策が分かりづらい」「耐震性は大丈夫か」と不安を訴えました。一方で、説明会に参加した546人のうち発言者はたった8人。若狭では原発の是非を尋ねる取材を拒む住民が圧倒的多数です。

 おおい町のある旅館経営者はこう明かします。

 「われわれは電力会社や原発に義理があるんだ」

 この旅館の宿泊客の大半は原発作業員。町を見渡せば、電力会社による寄付などで建てられた観光・レジャー施設が目立ちます。「原発に雇用と経済を支えてもらっている」という恩義がある以上、事故が不安だからといって反対を言い出せず、だからこそ町長も説明会後に「安全を大前提に再稼働を」と言うのです。 

▼安全を引き換えに

 しかし、今の若狭に「安全」は存在しません。

 緊急時に住民の最重要避難路になる国道27号線はおおむね片側1車線で、大渋滞を引き起こすのは明らか。今年1月の大雪で交通がマヒしたような事態が重なれば、住民は逃げることもかなわないでしょう。

 大飯原発が建つ半島とおおい町の中心部を結ぶ動脈は海に架かる大橋です。もし、地震や津波で原発の電源確保に失敗し、大橋も壊れてしまえば、半島の住民は原発もろとも孤立という悲劇も生じかねません。

 地域経済は大事ですが、住民の安全と引き換えにした姿は見過ごせません。立地地域が安全と経済を両立できる当たり前の姿に変えていくことが、脱原発社会をめざすには不可欠です。        


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