京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2012年 12月13日

敦賀のクロ判定、織り込み済み 
規制委の原発断層調査

廃炉の先行事例にできるか

 敦賀原発(福井県)の敷地内の断層(破砕帯)を調べていた原子力規制委員会の専門家調査団が12月10日、2号機建屋の真下を通る断層を「活断層の可能性が高い」と結論付けた。国の指針は活断層の上に原発を建てることを認めておらず、同原発は廃炉になる見通しが強まった。

▼最も止めやすかった

 活断層と判断された断層は「D―1」と呼ばれ、敷地北側を走る浦底断層から枝分かれする。調査団が現地調査した結果、枝分かれした場所の近くに「十数万年前以降に動いた」とみられる地層のズレを新たに発見。規制委は「十数万年前に動いた跡があれば活断層」とみなしているため、クロ判定を下した。

 ただ、敦賀原発は2008年の時点で浦底断層が活断層であることが分かっていた。1970年に運転を始めた1号機は、政府が廃炉の原則とした「運転40年」に触れる。今回の判断は原子力規制の歴史においては画期的だが、敦賀が最も止めやすい原発であり、廃炉は織り込み済みだったともいえる。同じく調査中の関西電力大飯原発について、規制委がクロの可能性が高まっていながら結論を先送りしたのは、唯一稼働中である点が大きい。「あくまで科学的」というよりも事情次第で判断が左右される面は否めない。

 規制委は断層調査の対象を6原発としているが、これは前の規制当局である原子力安全・保安院の再点検に基づく。保安院が事業者の見解をうのみにして役割を果たせなかった事実を踏まえると、全国規模で再点検するべきではないか。

▼脱原発のモデルづくりを

 クロ判定に対し、事業者の日本原子力発電は「到底受け入れがたい」と激しく抵抗している。原電は原発でつくった電気を電力会社に売ることで経営を成り立たせてきた一方、東海原発(茨城県)の廃炉も進めておりノウハウも併せ持っている。政府は国策として原発を推進してきた以上、2200人以上の従業員を抱える同社が経営難に陥るのが明らかならば、廃炉に向けた支援の仕組みを早く固める必要がある。

 「原発城下町」である地元・敦賀市への十分な配慮も欠かせない。規制委が説明責任を尽くすのはもちろん、官民合わせた支援で地域経済が脱原発依存を果たすことができれば、今後相次ぐことが想定される各地の廃炉を進める際のモデルケースとなり得る。国民が原発の電気で暮らしてきたいきさつを考えれば、廃炉の影響を地元だけに負わせることはできないはずだ。

                                      

府職労ニュースインデックスへ