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2012年 5月15日

原発再稼働ありきで策定 
東電の事業計画

やはり破綻処理すべきだ 

 政府は5月9日、東京電力の経営を立て直すための「総合特別事業計画」を認めました。東電の経営難は福島第一原発の放射能漏れ事故によるものですが、計画は7基すべてが停止している柏崎刈羽原発の再稼働を前提にしています。

▼非現実的な仮定

 計画では、年間稼働率を85%と仮定し、原発を1基動かせば年780億円のコスト減としています。しかし、近年の日本の原発稼働率は60%台で、仮定は非現実的です。

 柏崎刈羽原発の地元・新潟県の泉田裕彦知事は、「ストレステストは気休め」と述べて政府の再稼働手続きを批判しています。今秋の知事選に泉田氏は立候補する予定ですが、もし政府や東電が選挙結果次第で再稼働できると考えているならば、もはや計画とはいえません。

▼銀行の倫理観も問われる

 再稼働が計画に入ったのは、1兆円超を追加融資する大手銀行の意向もあるようです。しかし、原発が人々の命を脅かして暮らしを奪う危険があることが明らかになった以上、金融を通して社会貢献する使命を持つ銀行が原発推進に加担してよいのでしょうか。

 今後10年間でコスト削減する約3兆円のうち、人件費が1兆円以上を占めていることも気掛かり。世間相場より高いのは確かですが、一般職の年収を2割も落とせば、現場の士気に響きます。今の事態を招いた責任は、トップら幹部にあります。原発偏重を進めた過去の経営陣も含めて清算させるのが筋です。

▼廃炉費用はどうする?

 最大の疑問は、計画に原発廃炉や除染の費用を盛り込んでいないことです。

 費用は数十兆円以上に達するとの見方もあり、今の仕組みでは東電の経営が厳しくなるたびに国が税金を投入することになりかねません。それでも家庭向け電気料金を値上げするのであれば、ほかの民間企業と同様に破綻処理すべきでしょう。税の投入を抑える可能性も高まり、世論の納得も得やすくなるからです。

 計画の長所をあえて挙げれば、メディア広告費を2010年度の116億円から今年度以降は6億円とし、原発立地などへの寄付金もゼロにすること。東電の影響力が下がれば、原発の安全神話を振りまくことも難しくなるはずです。         


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