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2012年 7月 3日

再稼働と再生エネ普及を同日に 
政治的混乱の中にある政府

相反する政策始める  

 関西電力は7月1日午後9時、大飯原発3号機(福井県)の運転を1年3カ月ぶりに再開させた。福島の事故以降で初の原発再稼動だ。同じ日には、脱原発を促す効果が見込まれる「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」が始まった。1日がエネルギー政策の今後を占うターニングポイントとなりそうだ。

▼首相は「ベストミックス」

 関電によると、3号機はトラブルがなければ8日に、4号機は7月下旬にもそれぞれフル稼働する見通し。政府はフル稼働を確かめたうえで、2日から始めた「関電管内で15%」などとした節電計画を緩和する。

 これに対し、大飯原発の前では1日夜も市民らが反対の声を上げ続けた。6月29日には、恒例となった首相官邸前での抗議行動に、周辺道路を埋め尽くすほどの人が詰め掛けて「再稼動反対!」と連呼した。

 野田首相は市民の声を受け止めようとしていない。

 6月に再稼働を表明した際には、今夏にも定める新エネルギー基本計画で原子力も含めた「ベストミックス」を視野に入れていると明言。政府は電源割合について3つの選択肢をまとめたが、このなかには2030年の原発比率を10年時点とほぼ同じ25%とする案もある。首相は、民自公3党による原子力規制委員会設置法案の成立を受けて、四国電力伊方原発(愛媛県)などの再稼働の検討を始めてもらう意向とみられる。就任当初に菅政権から引き継いだ「脱原発依存」を忘れたかのようだ。

▼今後を決める買い取り制

 その一方で始まった再生エネ買い取り制は、日本を実質的に脱原発に向かわせる役割を担う。電力会社は太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスの再生エネ発電施設から送られた電気を買い取る義務があり、その価格も再生エネ事業者が採算を取れる水準に定められた。

 各家庭や企業は、電気料金に賦課金を上乗せされるため、300kW(キロワット)の電力使用で月75~111円を負担する。経済産業省によると、将来の負担は月150~200円に上がりそうだが、再生エネ発電量は今年度だけで新たに原発2・5基分の約250万kWも増えるという。さらに、10年後は新規の導入量が最大約3500万kWまで伸びると見込んでいる。

 政府が再稼働と買い取り制度という、相反する政策を同時に進めるのは、政治の混乱ぶりを示すものだ。しかし、いずれにしても再生エネ発電を大きく普及させる仕組みは本格化した。普及の事実を積み上げていけば、今後のエネルギー政策は無理強いがない限り、おのずと決まっていくことになるだろう。
                                                              

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