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2012年 11月 8日

「保育新システム」はいらない! 
保育士や親が懸念語る

「企業参入で格差広がる」

 8月に成立した子育て関連法に基づいてつくられる保育の「新システム」に保育士や父母らが不安を募らせている。国や自治体の保育責任を後退させる恐れがあるためだ。労働組合などが11月3日に東京・日比谷野外音楽堂で開いた保育制度の拡充を求める集会で参加者の声を拾った。

▼新システムで規制緩和へ

 政府は、待機児童の解消を目的に幼稚園(学校)と保育園(保育)の特長を併せて企業が参入可能な「総合こども園」を創設して移行を促す(新システム)法案を提出していた。自民党や運動団体が反対を強めるなか、関連法から「総合こども園」は撤回させたものの、就労に応じた短時間保育を導入し、一定の基準を満たせば、企業が保育により参入しやすくなるよう規制が緩和された。その基準については、政府の「子ども・子育て会議」(仮称)で今後話し合われる予定だ。

▼保育の格差につながる

 埼玉県川口市の浅倉千恵さん(35)は小学1年の長男、4歳の長女、2カ月の次男の子育て中。市東部の安行地区は人口が増えているにもかかわらず保育施設は2カ所のみ。「長男(当時4歳)は入れず、福島県の実家に預けた。寂しがって毎晩電話をしてきた」。

 長女は1年間待機して今年4月からようやく入園できた。「3人目の保育園を探すのも大変。子どもには辛い思いをさせたくない」と語る。現在、保育園の新設に向けて署名活動を行っている。新システムについては「企業の参入で保育料が高くなる。お金がないと保育園に子どもを預けられなくなる」と心配した。

 埼玉県寄居町にある「ゆずの木保育園」で働く保育士の女性は「短時間保育が認められれば、子どもたちがバラバラになって絆をつくれなくなる。子ども目線の保育を」と話した。

 群馬県藤岡市の「つくしんぼ保育園」の保育士の川島健介さん(30)は、2歳の息子、琥珀(こはく)くんを連れて参加した。「企業参入が強まれば格差が広がる。安い保育ならパート職員が増えて、子どもは施設に詰め込み。お金があれば英語や体操、美味しい給食という具合。最低水準を保障した公的保育を守るべき」と訴えた。

▼現行制度の拡充を 

 集会には保育士や園児ら3500人が参加。銀座でパレードも行い、「保育所つくれ」「保育士増やせ」などと声を上げた。自治労連などの労組や民主団体、父母の団体などでつくる実行委員会が主催した。
 主催団体は今後、国会請願署名や自治体への要請などを行い、新システムではなく現行制度の拡充を求める方針だ。自治労連の野村幸裕委員長は「保育に対する国や自治体の責任を明確にさせよう」と呼びかけた。

                                        

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