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2012年 12月25日

下北半島全体の安全性に疑問符 
原子力規制委の断層調査団

東通のクロ判定にとどまらず

  原子力規制委員会の専門家調査団は12月20日、東北電力東通原発(青森県東通村)の敷地に「多くの活断層がある」との見解をまとめた。調査団は、同原発を含む原子力関連施設が居並ぶ下北半島沖の大規模断層についても、活断層の疑いを指摘。今後の調査の展開次第では、再稼働が難しくなった東通原発だけでなく、半島にあるすべての施設が運転できなくなる可能性が出てきた。

▼「大陸棚外縁断層」を懸念

 調査団が懸念する大規模断層は、下北半島沖を南北に走る全長100キロの「大陸棚外縁断層」だ。西側にある半島に潜りながら押す動きをしているとみられ、一部の研究者は「マグニチュード(M)8級の大地震を引き起こす」と予測している。

 規制委調査団がクロ判定を下した東通原発の活断層も「大陸棚断層の活動に応じて動いた疑いがある」との見方が示された。調査団の佐藤比呂志・東大地震研究所教授は「海から陸までの深い地下構造がどうなっているのかを確かめるために、データを取ることが非常に重要」と指摘した。

▼原子力政策を左右

 下北半島には、六ケ所村核燃料再処理工場があり、電源開発大間原発や使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)も建設中だ。

 再処理工場は相次ぐトラブルで完成のめどは立っていないが、政府のエネルギー戦略で継続となった核燃サイクル計画の中心施設に位置付けられている。原発ゼロを否定する自民党中心の新政権が、原発の再稼働や輸出をするにしても、再処理工場で使用済み核燃料が処理できる見通しが付くかは重要なポイントだ。

 調査団をまとめる規制委の島崎邦彦委員長代理は、会合後に「(半島全体の断層)調査は先の話」と語ったが、調査を行うこと自体は否定しなかった。もし、今後調査を進めた結果、「大陸棚断層」が活断層とみなされれば、再処理工場は稼働できなくなりそうだ。そうなれば日本で原発を維持することは事実上不可能となる。

▼東北電はなお反論

 規制委は26日に改めて調査団の会合を開き、東北電の主張を聞いた上で東通のクロ判定を最終決定する。東北電は反論する方針だが、調査団の専門家4人の意見は一致しており、島崎氏も「(東北電の主張は)到底受け入れがたい」と話しているため、判定が覆る可能性はゼロに近い。

                                      

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