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2012年 6月14日

渋谷区が公契約条例案提出 
東京23区では初めて

まずは公共工事から適用  

 東京23区で初となる公契約条例制定の可能性が出てきた。桑原敏武・渋谷区長は開会中の6月議会に、来年1月施行の公契約条例案を提案。まずは公共工事で働く人々の賃金を底支えする制度をつくり、運用状況を検証しながら充実を図りたいとしている。

▼まずは大手から

 条例案は、予定価格が1億円以上の公共工事と、区長が必要と認める工事について、下請けを含む労働者の賃金の下限を定めるという内容。その水準は、国の公共工事設計労務単価と生活保護水準を参考に、新設する「労働報酬審議会」の意見を踏まえて、区長が決定する。

 1億円以上の工事は、過去5年間の同区の平均年間契約総額(実績ベース)の6割以上に及ぶ。同じく半数以上の工事が対象となるよう制度設計した東京都多摩市(今年施行)と比べても、そん色のない水準だ。

 条例案は受注企業に対し、下請けを含む労働者の氏名や職種、労働時間を把握する台帳を作成する義務を負わせている。
 まずはそうした実務負担能力のある一定規模以上の区内企業を対象にする。先行する自治体では「1000万円以下の委託業務」を適用対象とするところが多いが、それだと小規模零細企業も含まれてしまうため、今回は委託業務への適用を見送った。条例制定後の運用状況を検証しながら、委託業務への適用の是非を検討するという。

 桑原区長は3月議会での質問に対し、条例制定の意思を明らかにした。以降、急ピッチで作業が進められ、6月4日の条例案提出となった。

 同区議会では08年度に公契約法制定を国に求める意見書を採択していた。区の担当者は「国の法整備が進まない下で区長が決断した。地方自治体として、まずはできることからやっていく。重要課題である公共工事での労働条件向上の第一歩を踏み出したい」と話している。

▼区の実情に合わせて

 昨年末の東京都多摩市、神奈川県相模原市に続き、実現すれば全国5例目。東京23区で初の公契約条例実現が目前に迫った。渋谷区の試みは、同条例の実現可能性が以前と比べて、より高まっていることを物語っている。

 同区は多摩市などの先行条例をモデルとして参考にしながら、区の実情に合う仕組み作りを模索。条例案は決して「完成形」とは言えないが、まずは実現可能な範囲で制度を形にし、運用する中で充実をめざすという道筋を選んだ。

 今回の動きは、条例制定のハードルが数年前と比べて格段に低くなっていることを示している。首都東京中心部での挑戦が全国に今後どのように波及していくか。注目したい。


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