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2012年 7月 5日

沖縄や岩国だけの問題ではない 
開発段階から死亡事故が多発

米軍がオスプレイ配備へ  

 米軍が垂直離着陸輸送機「MV22オスプレイ」を日本に配備しようとしています。米国の意向を受けて、森本敏防衛相は7月1日に配備先となる沖縄県と山口県を訪れて理解を求めましたが、県知事ら地元首長は拒否する姿勢を明らかにしました。

▼安全性の保証なしに

 オスプレイはすでに世界各地で運用されていますが、開発段階から死亡事故が多発しています。今年に入ってからも墜落が相次ぎ、4月に北アフリカのモロッコで4人死傷、6月にも米フロリダ州で5人が負傷する事故が起きました。

 しかし、米側は「機体の不具合はない」として、あくまでも日本でオスプレイを飛ばそうとしています。今月下旬には山口の岩国基地に搬入し、同基地周辺での試験飛行を経て、10月初旬に沖縄の普天間飛行場で本格運用する計画を変えていません。日米地位協定によって、日本側が配備を拒むことができない事情が背景にあります。

 配備先の地元では、日増しに反発が強まっています。特に沖縄では、周辺が人口密集地のために「世界一危険」である普天間飛行場に配備されること自体が矛盾しており、2004年には実際にヘリコプターが飛行場近くの沖縄国際大に墜落した経験もあります。仲井真弘多知事が「安全性に疑問があるものは拒否するしかない」と述べて、防衛相に配備計画撤回を求めたのも当然でしょう。

▼危険生じる前に声上げて 

 ここで見誤ってはならないのは、配備が沖縄や山口だけの問題ではないということです。

 日本でオスプレイを運用する海兵隊の環境審査報告書などによると、配備後には岩国基地のほか静岡県のキャンプ富士にも数機を派遣したうえで、青森~秋田、岩手~福島、新潟~長野~岐阜、和歌山~四国、大分~熊本~宮崎、奄美諸島~沖縄の計6ルートで飛行訓練を予定しています。しかも、訓練は平均で上空150メートルという超低空で行われて、頻度も年330回に及ぶそうです。

 つまり、日本の広い範囲がオスプレイ墜落のリスクを常に抱え込むことになるのです。もし、住民に危害を加えるような事故が起きれば、反米感情が国内全体に広がるのは目に見えています。国民の安全を最優先に守るべき日本政府には、「そうした事態になることは、米側にとっても得策ではない」としつこいぐらいに伝える義務があるはずです。しかし、今回の防衛相訪問で分かるように、政府は地元にお願いするばかりで、米側に懸念を強く申し入れるつもりはなさそうです。

 政府の重い腰を上げさせて、オスプレイ配備による危険を取り除くためには、沖縄などだけに反対運動を「お任せ」していてはおそらく難しいでしょう。

 大飯原発の再稼働問題では、政府が最終決定した後に反対の意思を行動に移す人が急激に増えましたが、残念ながら覆すには至っていません。自ら危険にさらされる前に、一人でも多くの国民が大きな声を上げる必要があるのです。                                                              

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