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2012年 10月 5日

普天間の辺野古移設への圧力か!? 
オスプレイ本格配備・なぜ日本は拒めないのか(下)

沖縄では安保・地位協定見直しの声

 米軍が日本に配備している新型輸送機MV22オスプレイは、開発段階から死亡墜落事故が相次いでいます。海兵隊は今後、拠点となる沖縄だけでなく国内各地で低空飛行訓練を実施する方針で、国民は事故に巻き込まれるリスクを抱え込むことになるでしょう。

▼安保体制に問題アリ

 ところが、野田首相は「配備は米国政府としての基本的な方針で、それをどうこうしろという話ではない」と述べました。日米安保条約やそれに基づく日米地位協定のあり方に問題があるからにほかなりません。(写真は、オスプレイが配備された普天間基地)

 1960年に安保条約が結ばれた際、当時の日米間では別の文書も交わされ、日本での米軍装備に「重要な変更」がある際は事前協議する旨が記されました。しかし、両政府は「核弾頭や中長距離ミサイルの持ち込みに限られる」とし、野田首相も国会で「(オスプレイが対象外なのは)共通の理解」と答えました。

 一方で、安保条約第4条には「条約の実施に関して随時協議し、(中略)いつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」とあります。素直に読めば、日本はオスプレイ配備で事前協議を申し入れて、反対意見を伝えることは可能なはずです。
 条文どおりに事が進まない現状を見れば、今の安保体制の運用に支障をきたしているのは明らか。9月9日の配備反対の沖縄県民大会で、安保条約や地位協定の見直しを求める意見が出たのも当然です。

▼辺野古移設へ圧力かける

 オスプレイが配備された普天間基地は、近くに学校や民家が並ぶ「世界一危険な基地」。わざわざ「欠陥機」であるオスプレイを置くという両政府の行動に、沖縄では「普天間基地を名護市辺野古に移設するための圧力だ」との見方が共有されつつあります。

 首相は10月1日の記者会見で普天間基地の移設・返還をめざす姿勢を強調。辺野古移設に向けて沖を埋め立てる申請を仲井真弘多県知事に出すことも示唆しました。しかし、普天間基地は45年の沖縄戦の最中、米軍が「銃剣とブルドーザー」で住民を追い払って建てたもので、国際法違反が指摘されています。沖縄では「普天間が使えないならば辺野古をくれというのは盗っ人の理屈だ」という声が強まっています。

▼マスコミ報道にも問題

 沖縄では「本土メディアは何を伝えているのか」との批判もよく聞かれます。

 テレビや新聞を含めたマスコミがオスプレイ問題を報道する際、まず「沖縄に配備される」という枕ことばを使います。しかし、オスプレイは本土で訓練を行う以上、対象をあえて沖縄に限るような言い回しをするのは正しくありません。

 本来ならば「墜落の危険とともに暮らすのは国民全員だ」と知らしめるべき。そのうえで、沖縄では基地に生活が阻害され続けている実態があり、さらにはオスプレイ配備を拒めない根底には日米安保がある――。こうした点を常に問うていかない限り、まともな報道とは呼べないのです。(おわり)
                                          

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