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2012年 6月26日

国民には増税キャンペーン 
大手新聞のエゴイズム極まる

一方で自分たちの軽減税率を要求  

 消費増税法案の衆院可決が確実な情勢となり、税率が現在の5%から2014年4月に8%、15年10月には10%への引き上げが現実味を帯びてきました。野田政権は消費増税を最重要課題として取り組んでいますが、全面支援してきたのは大手の新聞社です。

▼政府の片棒担ぎながら

 例えば、朝日新聞は3月31日付社説で「税制改革の法案提出―やはり消費増税は必要だ」と主張しました。「『景気回復を待って』と言っている間に借金はどんどん積み重なる。リーマン・ショックのような激震時には見送るにしても、増税から逃げずに早く決断することが大切だ」などと、政府の片棒を担ぐような論理を展開。世論に増税への理解を求める役割を果たしてきました。

 朝日は5月20日にも「消費増税と低所得層 軽減税率は将来の課題に」という社説を載せました。

 消費増税は、生活必需品の支出割合が多い低所得者層を直撃する「逆進性」という深刻な問題を生じさせます。そのため、仮に引き上げるならば、せめて生活必需品の税率を据え置く「軽減税率」を取り入れるべきとの考えがあります。社説はそれについて終始否定的でした。

 「何を軽減税率の対象とするのか、線引きも簡単ではない」「生活に不可欠という点では、電気やガス、水道、電話代もある…。さまざまな業界から適用要望が相次ぐのは必至で、消費税収が大幅に目減りしかねない」

▼自分の利益だけは要求

 ところが、いよいよ増税法案の衆院可決が見えてきた6月20日、朝日新聞社の秋山耿太郎社長は、超党派の国会議員による「活字文化議員連盟」の総会に出席し、新聞に軽減税率を適用するよう求めたのです。毎日新聞21日付朝刊によれば、秋山社長は、新聞社やテレビキー局でつくる「日本新聞協会」会長としてこう述べたそうです。

 「アメリカや韓国も含め経済協力開発機構(OECD)加盟国のほとんどで知識への課税はゼロか最低率というのが共通認識だ」

 ここ数年、新聞社は読者数や広告収入の落ち込みで経営が悪化し、消費増税は社勢低迷に拍車をかけるとみられます。だからといって、今まで「財政や社会保障」を理由に引き上げを唱えておきながら、いざ実現しそうになると、自らの利益を守るために社説と大きく矛盾する要求を政治家にお願いするというのは、もはや節操もなく、エゴイズムと呼ぶほかありません。

 議連の総会では、毎日新聞の朝比奈豊社長も「イギリス政府は民主主義を守るため知識課税はしないと言っている」と強調したそうですが、同紙はわずか10日前の6月10日にこの発言に沿った社説を掲げました。なぜ、増税議論の最初の段階から軽減税率の必要性を広く訴えなかったのでしょうか。筋がまったく通っていません。

▼「知識」に値するのか?

 2人の社長は口をそろえて自らの新聞を「知識」と言ってはばかりません。

 大手新聞は、福島原発事故の原因となった「安全神話」を生み出しました。事故直後も放射能汚染を軽く見せようとした政府の思惑に無批判に乗っかった報道を続けました。それでも、社長たちは良識ある市民が新聞を「知識」と認めていると考えているのでしょうか。米軍基地が集中する沖縄の現状に対して、民主主義や憲法が機能しないこの国のあり方を批判せずに、「本土も負担覚悟を」(毎日新聞5月15日付社説)などと迫る論調は「知識」に値するのでしょうか。

 エゴイズムとごう慢にかられている限り、世間との距離は広がり続けるでしょう。「新聞の未来は暗い」と警告しておきます。
                                                              

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