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安全委の「了承」は根拠なし |
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ずさん過ぎる政府の手続き |
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原子力安全委員会は3月13日、関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト1次評価を経済産業省原子力安全・保安院が「妥当」とした審査について、確認を終えて了承する方針を明らかにした。班目春樹委員長が同日開かれた検討会を5回目で打ち切り、「安全委の委員5人で取り組む」と述べた。 政府は、安全委が結果を示し次第、野田首相と枝野経産相ら関係閣僚が3月中にも政治判断し、地元の福井県やおおい町に了解を得たうえで再稼働を実現させたい意向だ。だが、安全委の了承をもって事を進めるのは無茶だ。 ▼委員も1次評価に不満 13日の検討会終盤、ナンバー2の久木田豊委員長代理は不満をぶつけた。 「ストレステストは(3、4号機の)特有な問題の発見が重要だが、その部分は証明されなかった」 テストは各原発の弱点を洗い出すのが目的だが、保安院と関西電は「想定地震の1・8倍の揺れや11・4メートルの津波にも耐えられる」と強調。非常用電源の容量拡大や建屋への浸水防止対策をアピールした一方、弱点は曖昧にした。 例えば、炉心冷却が不能になる前に作業員の手動でベント(排気)するとした点。委員や有識者は「地震で配管が破損したら、手動する現場に行けなくなる」と指摘したが、保安院と関西電は「アクセスルートはある。配管に地震による影響は及ばない」と答えた。 テロ対策を問われれば「テストになじまない」と拒み、火災を想定したかや、建屋の浸水対策の不備を追及されると「検討する」「(重大事故対策を見極める)2次評価で」と逃げた。その2次評価は提出のメドも示さず、班目委員長も「2次と合わせて総合的安全評価」と言わざるを得なかった。 ▼委員長は責任回避 ただ、安全委の責任は重い。政府が了承を「再稼働の科学的根拠」としているからだ。 昨年夏に泊3号機(北海道)の再運転が強行された際も、安全委が「お墨付き」を与えたことは記憶に新しい。班目委員長は今回も「安全委には(テストを審査する)法的根拠がない」と弁明したが、福島事故の責任を忘れたような姿勢だ。 ▼「テストでは不十分」 そもそもストレステストを元に再稼働を図るやり方は破綻している。 地元了解の鍵を握る福井県の西川一誠知事は「ストレステストだけでは不十分」として、国が新たな安全基準を示すよう求めている。 保安院はこれに対し、ベント設備強化など30項目の対策を検討中だが、これを当てはめればほとんどの原発で基準をクリアできなくなる。さらに12日の保安院の専門家会合では、関西電が「大飯原発付近の活断層は連動地震を起こさない」とする説明に「根拠不足」との批判が続出した。 ▼地元の反対強まりも ちぐはぐな政府側の対応に地元も疑念を隠さない。 おおい町議会の原発対策特別委員会は「福島事故を教訓にした安全対策が取られるまで再稼働に同意しない」という陳情を「趣旨採択」している。同町は原発城下町で経済面から再稼働は否定しないが、内容は共感するという意味だ。 時岡忍町長は政府に住民説明会の開催を要請。1月に来日したIAEA(国際原子力機関)の調査団も報告書で「住民の会合参加」を求めた。説明会が紛糾すれば、ずさんさが浮き彫りになるばかりだろう。 市民団体「原子力発電に反対する福井県民会議」は25日に福井市内で反対集会を開く。隣接する滋賀県も政府に説明を求めており、手続きを強引に進めるほど信を失うのは確実だ。 安全委が傍聴拒否/「市民の発言」理由に 13日のストレステスト1次評価の検討会で、原子力安全委員会は一般市民の傍聴を認めず、モニターで見学させた。市民たちは「保安院の意見聴取会と同じ」と猛抗議したが、職員に会場行きを阻まれた。市民のなかには福島原発事故の被災者もいた。 安全委事務局は連合通信の取材に対し、「前回の傍聴者の発言がひどく、委員のほか記者からも『質問や説明が聞きづらい』と苦情が来た」と理由を説明。「公開したかったがやむを得ない。何度注意しても止めなかった。悪いのはあちら(市民)」とも述べた。 |
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