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2012年 11月16日

「身近な交流が効果的」と指摘 
日中関係の「耐震補強」求める

ジャーナリストの莫邦富氏が講演

 知日派ジャーナリストの莫邦富(モー・バンフ)氏は11月12日に都内で講演し、尖閣諸島をめぐり悪化している日中関係をビルに例え、「今の『政治的地震』に耐えられるようにできていない。耐震補強工事が必要だ」と語った。観光や経済、日本の社会保障制度などの交流を通じて両国の結びつきを強めるよう提案した。講演は、連合通信社が主催した。

 今年9月、日本政府が尖閣諸島を国有化したことで日中関係は急速に悪化。中国各地で反日デモが発生し、日系企業が襲撃された。中国人観光客のキャンセルや日本製品の不買運動も相次いだ。日本でも反発の声が強まり、関係悪化が続いている。

▼過激デモだけではない

 「日本メディアに報道されたデモは事実だが、全て伝えられているわけではない」。中国でデモの現場を見たという莫氏はこう話し、過激なデモとは距離を置く中国人が少なくないことを伝えた。

 デモ参加者の中には、日本製品の不買を呼び掛けながら、「暴力反対」と書かれた横断幕を持って行進する人たちや「破壊行為はしないで」と書いた紙を掲げた女性がいたという。中国国内のインターネット上では、暴動の写真を保存して「責任を追及しよう」という書き込みもあり、「ネット世論は政府メディアより健全だ」。書店からの日本人書籍の撤去や北京国際マラソンでの日本人排除の動きについてもネット上で批判が上がり、対応を改めさせたことを紹介した。

▼関係悪化は日中に被害

 一方、日本国内については、石原慎太郎前東京都知事が尖閣諸島をめぐり中国に挑発的な発言を繰り返したことに触れ、「正しく批判したメディアはほとんど見当たらない」と苦言。中国側の意向を無視して国有化を決めた民主党政権の対応についても、「自民党より民主党はさじ加減が分かっていない」と述べた。

 日中関係という「ビル」は「(国交正常化の)40年前の基準で建てられたもので今の『政治的地震』に耐えられない。耐震補強工事をしなければならない」と訴えた。日本側の一部で中国との経済的あつれきを軽視する声が出ていることには、「このビルが倒壊すれば、被害を受けるのは中国だけではない。日本も同等、それ以上の被害を受ける」と強い懸念を示した。

 「耐震補強」の方法としては、両国が(1)観光など「人的交流」の強化(2)税金や医療、年金制度など「ソフト」の交流(3)全ての紛争を平和的手段で解決する原則──に取り組むよう求めた。

▼日本の「機内食」大反響

 その実例も披露した。莫氏が9月下旬に交流サイトに日本の農村風景や航空会社の機内食の写真を紹介したところ、大半が好意的な意見。機内食の写真は100万人以上が閲覧した。また莫氏が中国の視察団を日本各地に案内すると、日本の環境保護や学校給食制度など「ソフト」面に高い関心を示すという。

 「高尚な理念よりも、身の回りのことを伝えた方が効果的だ。中国国内では食品の安全、子どもの教育、年金、健康保険への関心が高まっている」

「高尚な理念よりも、身の回りのことを伝えた方が効果的だ。中国国内では食品の安全、子どもの教育、年金、健康保険への関心が高まっている」

 中国のインターネット人口は約4億人で、「政府トップの行動を制限し始めている」と指摘。日中関係の改善に向けて、「日本政府は中国政府だけでなく、中国国民にもアピールしてほしい」と期待を寄せた。

 中国のインターネット人口は約4億人で、「政府トップの行動を制限し始めている」と指摘。日中関係の改善に向けて、「日本政府は中国政府だけでなく、中国国民にもアピールしてほしい」と期待を寄せた。(連合通信)

                                        

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