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2012年 9月20日

国会の同意ないまま委員任命 
原子力規制委員会を考える(下) 

原発推進に突き進む恐れ

 3)政府のゴリ押し
 
 原子力規制委設置法7条は、原子力事業者が委員に就くことを欠格としています。国会審議では、中村佳代子氏のアイソトープ協会や更田豊志氏のJAEAは「事業者」とされました。

 ところが、人事案が明らかになると、政府は「両氏は現職を辞めるので適格」とし、法成立後の7月にはガイドラインをつくって「事業者とは電力会社。協会や機構は該当しない」としました。法をねじ曲げたのです。

 あまつさえ政府はこの法律を乱用しています。野田首相は設置法が義務付ける「国会同意」がないまま委員人事を決めました。政府は、同法の付則で「国会閉会などで同意を得られない場合は任命できる規定がある」とし、今後も原発事故から続く「原子力緊急事態宣言」を解くまで同意は不要との解釈まで持ち出しています。

 人事案は国会委員会にかけられていましたが、民主党が議員の造反や離党を恐れて採決できなかったのが実情。こんな理由で規定を使えるならば、もはや法治国家とはいえません。

(4)誰も止められない

 規制委は、経済産業・文部科学の両省、原子力安全委員会が行ってきた原発の安全規制、災害対策、放射線モニタリング、核セキュリティーなど「核」に関するあらゆる業務を担います。そして「技術的・科学的判断を要するものは政府から独立して決められる」という権限まで託されました。

 まず注目すべきは、政府が9月14日に示した新たなエネルギー政策で「規制委の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」とした点がどう扱われていくか。もし、規制委が「科学的に妥当」とくだんの権限をもって判断していけば、各地で原発再稼働が相次いでも、誰も止められない事態が起こり得るのです。さらには「技術的に問題なし」とすれば、政府方針である「40年運転制限」も骨抜きになるかもしれません。

 このほど改正された原子力災害対策特措法では、「技術的・専門的知見にもとづき原子力施設の安全確保のために行う判断は、災害対策本部長(首相)の指示対象から外す」となっています。つまり、原発事故を抑える方策は規制委員らの双肩にかかっており、少し大げさに言えば「国民は規制委に生命を預けた状態」となるのです。とはいえ、委員5人のなかには原子炉のスペシャリストと衆目で一致する人は残念ながらいません。                                              

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