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2012年 9月18日

原発推進者が委員長!? 
原子力規制委員会を考える(上) 

事故の反省なき始動

 新たに原子力規制を担う「原子力規制委員会」が9月19日に発足します。福島の大事故や大飯の再稼働で地に落ちた原子力行政を改めるのかと思いきや、どうやら別の方向に行きそうです。問題を4点に絞って連載します。

(1)原子力ムラの温存

 国会事故調は7月の報告書で、「規制当局である経済産業省原子力安全・保安院は、知識や情報量で電力会社に先を越されて立場が逆転している」と指摘しました。推進当局の経産省が規制を兼ねる構造によって、電力業界や学界と協力し合う「原子力ムラ」がつくり上げられた結果、国民が故郷を追われて放射能を恐れる原発事故を引き起こしたのです。

 規制委はそうした反省に立った組織にすべきで、委員5人もそれに適する人物が務めるのは当然です。しかし、政府の人選は、ムラの温存や原発を動かし続けることをめざしているようにみえます。

 委員長に就く田中俊一氏は、原子力行政の最高機関である原子力委員会の元委員長代理という肩書きを持ちます。8月に国会で聴取を受けた際には、任期中に電力業界が委員会を事実上操る「秘密会議」に出席していた事実を認めました。

(2)資質にも問題アリ

 資質にも疑問があります。田中氏は事故後に福島県伊達市や飯舘村で除染を試み、線量を下げることができないまま土壌を放置して去りました。一方で、原子力損害賠償紛争審査会の委員として、自主避難者への賠償に最後まで反対。限界があるにもかかわらず除染を前提にした帰還の必要性を主張したのです。

 その他の委員もそう大差はありません。日本アイソトープ協会の中村佳代子氏は「低線量被曝は子どもと大人で発がんリスクに差がなく、原発事故による住民の被曝線量も十分に低い」(読売新聞7月22日付)と発言。明らかな科学的誤りを堂々と言いのけています。日本原子力研究開発機構の更田豊志氏も、原子力安全委の専門家委員として大飯原発の再稼働を事実上容認した「実績」があります。

 原子力の危険性に警鐘を鳴らし、原発事故がもたらす深刻な問題を認識できている人が委員に入っていないなかで、公平な立場で規制できるかどうかは、いきなり暗雲が漂っています。                                               

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