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2012年 12月20日

憲法96条「改正」の動きが加速 
総選挙で改憲勢力が多数に

新政権は行き詰まる可能性まも

 衆院選に大勝した自民党の安倍晋三総裁は、再び首相として政権を担うことになりますが、待ち構える重要課題はいずれも難題です。しかも、自民の選挙公約は解決策が不十分だったり、あいまいなため、政権運営を始めるや否やツケが回る可能性が十二分にあります。

 大手各紙による衆院選の世論調査を見ると、有権者が最も重視した政策は「景気対策」。長引くデフレ不況にあえぐ国民にとって、景気回復は喫緊のテーマで、新政権はまずこの声に応えなければなりません。

▼景気対策は見せかけに
 
 自民党は選挙戦で「デフレからの脱却を最優先に(国内総生産=GDP)名目3%以上の経済成長を達成する」と約束し、安倍氏はその手段の一つとして「日銀に2%のインフレ目標を導入させる」と繰り返しました。 インフレ目標とは、日銀にお札を大量に刷らせることでお金の価値を下げ、物価を上昇させようというもの。しかし、単に物価を上げただけでは、年々世帯収入が落ち込んでいる国民生活は苦しくなるばかり。この点でフォローを欠けば、GDPの数字が上がっても見せかけに終わるでしょう。

 公約では、政権発足後ただちに経済対策を盛り込んだ大型補正予算を組むとしており、実際に最大10兆円規模のものになる見通しです。ただ、肝心なのは中身。かつての自民政権が続けてきたような公共事業が中心となれば、恩恵に預かるのは大手ゼネコンばかりで、経済全体に効果が及ばず不公平感だけが残ります。この問題は、大震災の被災地が待ち望む復興に関しても同じことがいえます。

 したがって、自民が打ち出す経済対策では、国民が景気回復を実感できるとはとても言えず、政権はたちどころに失望されるでしょう。景気の問題は消費増税と深くかかわっており、13年秋にやって来る最終判断で政権が見せかけのGDPを根拠に増税を決めれば、国民の怒りを買うのは必至です。

▼世論二分の課題に直面

 安倍氏は景気対策の一方で、日本維新の会などと連携して憲法改正手続きを定めた96条を変える意向を示し、原発についても「原子力規制委員会が安全性を確認すれば再稼働する」としています。米国が交渉を主導するTPP(環太平洋経済連携協定)参加問題に関しても、公約では「聖域なき関税撤廃には反対」としながら、17日の会見では「米側の要請を吟味する」と早くも立ち位置を移そうとしています。

 ただし、これらの課題はいずれも世論を二分しており、どのような判断や結論を出しても強い反発を招くのは確実です。さらに言えば、もし景気回復がおぼつかない状況で突き進めば、「優先順位を間違っている」と批判を浴びることになるでしょう。

▼資質が問われる場面も

 憲法改正にみられる安倍氏のタカ派的姿勢を、国民が嫌う展開も考えられます。その典型例は、衆院選の演説で日教組などの特定の労組を名指しして攻撃したこと。個人がどのような思想を持つのかは勝手ですが、首相は国民をまとめていかなければならない立場であり、今後もこうした発言をすれば資質が疑われるでしょう。前回の辞任の原因とされる潰瘍性大腸炎も「完治していない」と認めており、強い批判にさらされ続けると二の舞を起こさないとも限りません。

 こうして分析していくと、新政権は衆院の勢力では磐石に見えても、行き詰まりにつながりそうな要因が多く、反対の世論を呼び起こすチャンスはかなりありそう。労組の運動の底力が問われるのはこれからです。

                                      

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