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2012年 10月30日

衆院選後の改憲政権誕生狙う? 
都知事辞職し石原新党結成へ

「第3極」の結集を疑え

 石原慎太郎氏(80)が東京都知事を辞め、支援してきた「たちあがれ日本」を母体とした新党を旗揚げすることになりました。

 10月25日の記者会見では、尖閣諸島や教育の問題などを例に担当省庁を猛烈に批判し、「硬直した中央官僚の支配体制を変える」と高らかに宣言しました。日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査によれば、「期待する(46%)」が「期待しない(43%)」を上回っています。

▼発言に食い違い

 石原氏は、自民でも民主でもない「第3極」の結集をめざすとしています。26日には、政策の違いや人物の好き嫌いにこだわる声に対し、「永田町にいる人間は視野が狭い。大きな視点で考えられないか」とも述べました。しかし、その本気度を疑うべきです。

 なぜなら、国会議員が9人である橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」との連携には積極的なのに、はるかに多い50人に上る「国民の生活が第一」については「(代表の)小沢(一郎氏)がバカなので」と全否定。社民や共産に関しても「生理的に合わない」と語りました。自らが好悪の念から抜け切れず、大きな視点で考えられていないのは明らか。東京新聞は27日付の「こちら特報部」で、識者の弁として石原氏を「自己抑制できない」と評しています。

▼憲法に異常なこだわり

 政策の違いにこだわらなくて良いとの考えも、いかがなものでしょうか。国民が最重要課題の一つと受け止め、次期衆院選の争点となりそうな原発のあり方まで「ささいなこと」と決め付けるのは、あまりにも乱暴です。

 その一方で、石原氏の会見で「今の憲法の合法性はどこにあるのか。占領軍がつくった法律が、独立後も通用する例はない」と発言。以前から「新たな憲法の制定」を主張してきたいきさつから、相当なこだわりを感じさせます。

▼政治情勢から現実味アリ

 この考えに近い政党といえば、タカ派である安倍晋三総裁の自民党と「維新の会」でしょう。現在の政治情勢を見れば、次期衆院選で議席を伸ばしそうなのがこの両党であることは、各紙の世論調査でも一致するところ。これに自民と連携している公明と石原新党が加われば、憲法改正を発議できる国会議員総数の3分の2に限りなく近付きます。仮に今の情勢が続き、来年夏の参院選とのダブル選ともなれば、ますます現実味を帯びてくるでしょう。

 自民との連立について、石原氏は「考えていない。今の自民党は評価できない」と話していますが、民主党や「国民の生活」に対する罵倒と比べればかなりソフト。9月の自民総裁選で、各候補に尖閣問題に対する質問状を出し、その回答に「満足」と述べていたことも関係の深さを証明しています。選挙前に連立を言い出せば、自分らの票が逃げていく可能性も見抜いているはずです。

 こうした言動をじっくり分析すれば、石原氏の狙いは「第3極」ではなく「自民+維新+新党」の連立政権誕生と読み取れます。一票を投じる有権者としては、念頭に置いておきたいポイントでしょう。                                          

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