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2012年 2月13日

聴取会は「妥当」に異論多数
 大飯原発3、4号ストレステスト

保安院、再稼動へ見切り発車 

 経済産業省原子力安全・保安院は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)のストレステストについて「妥当」とする審査書を近く原子力安全委員会に送る。2月8日の意見聴取会で示された案に専門家から多くの異論が出たが、保安院は審議継続を拒み、再稼動の手続きを進めた。

▼責任者は「疑問に答えた」

 「われわれとしては疑問に答えた。保安院で責任をもって作業していく」
 保安院の市村知也原子力安全技術基盤課長は、聴取会終盤で審議打ち切りを「宣言」した。委員の井野博満東大名誉教授が「まだ質問がある。次回も継続するのか」との問いに対する返事だった。

 保安院の審査書は、大飯原発は想定より1・8倍大きい地震と11・4メートルの津波が襲っても「福島原発事故のような事態は起きない」としている。

 原発反対の立場を取る井野氏と後藤政志芝浦工業大講師は「トラブルが起きても設備は壊れず、作業員もミスしないとの前提はおかしい」と批判。テストが原発の設計段階のデータで計算された点も非難した。

▼「御用学者」が苦言

 審査書案への懸念は2人以外からも上がった。独立行政法人日本原子力研究開発機構の渡辺憲夫氏は「いろいろな手段を組み合わせるべき」と述べ、テストだけが再稼動条件であることを疑問視した。

 首都大学東京の西川孝夫名誉教授は「1・8倍や11メートルとの数字はモデルを変えればいくらでも変わる」と指摘。保安院側がそれを認めると、岡本孝司東大教授も「書くべきことを書いてもらわないと困る」と苦言した。岡本氏は、原発メーカーの寄付を受けた「御用学者」だ。

▼専門家も読解不能

 今回審査されたテストは1次評価だ。保安院は電力会社に過酷事故の対策を見定める「2次評価」の年内提出も求めていたが、大飯原発を含めて提出はゼロ。奈良林直北海道大教授は、IAEA(国際原子力機関)調査団による報告書で2次評価を「確実にすべき」と指摘したことに触れた。

 「国民の不安に応えるために早い対応が必要だ」

 聴取会の後、保安院の市村課長は「地元に分かりやすい内容に書き換える」と述べた。だが、審査書は資料を合わせると300ページ近くで専門家でさえ「読みこなせない」代物。住民はおろか首長が分かるように書き直すのはまず無理だ。


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