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2012年 5月24日

「原発被災者支援法の成立を」 
与野党が議員立法で

「避難の権利」確立めざす 

 福島原発事故の被災者を支援するため、与野党が3月にそれぞれ参議院に提出した法案を一本化する作業が最終段階を迎えている。法案の中身は、低線量被曝にさらされている被災者の大きな助けとなりそうだが、成立の見通しはまだ立っていない。

▼法案一本化ほぼ実現

 民主党の「東京電力原子力事故の被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律案」は、国が決めた避難区域以外でも放射線量が一定基準を超えた地域を「支援対象地域」に指定。住民は居住か避難のいずれを選んでも、国や自治体から医療や就業・就学など幅広い生活支援を受けられる権利を持てる。

 1986年のチェルノブイリ事故では、5年後に被災者支援法が成立。追加被曝量が年1ミリシーベルト以上で住民に「避難の権利」を与え、国は残留や移住に関係なく生活支援をしている。一方、福島県内では被曝の危険を抱えながら経済事情などから避難できない人が多い。与党案はこの現状を変えるのが狙いだ。

 自民、公明、みんな、共産、社民など野党7党は「平成二十三年東京電力原子力事故による被害からの子どもの保護の推進に関する法律案」を提出。低線量被曝による健康被害が心配される子どもを守ることに主眼を置き、国が線量低減や医療体制整備に必要な措置を講ずるよう求めている。

 与野党では、法案一本化に向けた協議を断続的に続けた結果、与党案に野党案の中身を盛り込むことで大筋合意し、文言の調整もほぼ済んだという。支援法制定を求める市民団体からは「与野党案が合体すれば、いい法律になる」と期待する声が聞かれる。

▼成立阻む政府の慎重姿勢

 だが、成立は簡単ではない。政府内から「支援対象が広範で財政出動を伴う」と慎重意見が出ており、与党内の合意ができていないからだ。成立しても議員立法のため、支援策の具体化は省庁が担う。法律が骨抜きにされる恐れもある。

 一本化をけん引してきた民主党の谷岡郁子参院議員は5月17日、市民団体主催の院内集会で「被災者自ら被害を証明するために国と裁判で争うような事態になれば、公害や薬害と同じことになってしまう」と指摘。成立に向けて世論の後押しを訴えた。       


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