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2012年 10月11日

「被爆者のたたかい引き継ごう」 
日本被団協

2世との交流会始める

 日本被団協が、原爆被爆者の子である「被爆2世」に、運動を引き継ぐ取り組みを始めている。10月3日には都内で2世を集めた交流会を開き、今後の活動のあり方を話し合った。

 被団協は1956年の結成以来、核兵器廃絶を訴え続け、戦争を起こした国の謝罪や被爆者援護の充実を求める運動を展開してきた。現在も新たな援護法の成立をめざしているが、被爆者の平均年齢が78歳を超えるなど、運動を長期的に続けていけるのかという課題が突き付けられている。

 2世も親の被爆による健康不安を抱えているが、国の健康診断ではがんを検診対象としておらず、2世がどれだけいるかなどの実態調査も行っていない。こうした問題を解決しようと、2世同士が会を立ち上げる動きも各地で出てきたが、親の身に起きた悲惨な出来事をほとんど知らされていない人も多く、被爆体験の継承を難しくしている。

 そのため、被団協は9月に「二世委員会」を立ち上げ、2世の要求をどう実現していくのかを議論。「まずは2世自身に思いを出し合ってもらおう」と交流会の開催を決めた。

▼がん検診の実現めざす

 交流会には、全国から27人の2世を含む約70人が参加した。2世からは「被爆体験の語り部でさえ自分の子には伝え切れていない事実がある。それでも、私たちは親の被爆後の人生を語ることはできる」という前向きな意見が聞かれた。

 その一方で、「地域の被団協を手助けしているが、組織の維持で手一杯。活動を進める余裕はない」という切実な声も。こうした話し合いの結果、2世の組織化に向けて具体的なメリットを示すためにも、国にがん検診の実施を求めていくことで一致した。被団協の岩佐幹三代表委員は「2世のみなさんは私たちの後継者だが、運動を自らつくっていかなければならない」と話している。

〈用語解説〉被爆2世

 両親やいずれかの親が原爆の被爆体験を持つ人。広島や長崎の労組でつくる「全国被爆二世団体連絡協議会」は全国に30~50万人いると推計していますが、実態は今も不明です。国は1979年から年1回の健康診断を続けており、昨年度は約1万7600人が受診しましたが、「被爆の影響が遺伝するという科学的根拠がない」として、がんは検査項目に入れていません。
                                          

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